つい先日まで「今日は涼しくていいね!」だったのだが「今日は寒いね」に変わった。
行きつけの酒屋さんから電話が入った。
「担当と代わります」と言って妻と代わった。
「じゃあ8本お願いします」と妻。
この時期にしか味わえない濁り酒を注文したのだ。
翌日代金を支払い2本持って帰った。
残りは酒屋の冷蔵庫に保管しておいてもらう。
基本、祝い事があれば呑むことにしている。
それがあった。
中身は言えないが。
急遽妻の遊び道具であるテーブルに広がる布を隅に追いやり酒盛りをする。
煮物(レンコン ニンジン 大根 ごぼう 鶏肉 いんげん) 炒め物(もやし 豚ホルモン) 志太泉濁り酒
一升瓶をやめたのは、この濁り酒の開封が難しいからだ。
四合瓶ならアルミの封がネジ式になっているので少し開けては閉めを繰り返して酒の噴出を抑える。
赤い漆塗りの片口の酒器に少し粘り気のある白い液体が4合瓶から移される。
瓶のまま飲んでいると、初めは薄いが後になるほど濃いドロドロの物となるからだ。
一旦移してしまえば、よく撹拌された均一に近い濃さとなる。
それにしても一口飲むごとにお湯を飲んでアルコールや何か分からない物質を薄める。
酒器の表面では、泡がブツブツとまるで生き物のように生まれている。
ぐい飲みに移してからも泡は出続け、それどころか口の中に入り込んでも、その現象は止まない。
「あー。うまい」
祝い事のことは「乾杯」で終わり、もう濁り酒の美味しさに移行した。
「煮物と合うね」とか「この器の金継ぎがいいね」とか。
この寒さまで有難いものと感じさせてくれる、この酒にもう一度乾杯。
至福の時。