「これ、取れっちゃったの」と言って妻が持ってきたのは洗面所にある電灯のプルスイッチのヒモだった。
大昔のガイシでできたスイッチから出ている鎖を引っ張るための物だ。
ただのヒモでは面白くないので、どこかネパールとかインドあのあたりの民族土産物的なテイストの茶と緑色の球を糸に通した物だ。
スイッチの鎖には細いワイヤーを通し、そのワイヤーに球を通してある。
ワイヤーが細すぎて15年に1回ぐらい切れてしまうのだ。
もっと太いワイヤーにすればよいのだが鎖が細いので、どうしても細くせざるを得ない。
またスイッチから出ている鎖は短くてスイッチの外に長く出ていれば簡単なものを短ものだからスイッチ内に戻ってしまわないように細いドライバーを鎖に刺して戻らぬ細工をして作業する。
風呂栓チェーンを利用することを思いついた。
鎖からは丸かんと呼ばれる金属の輪っかを繋いだ。
風呂栓チェーンに民族土産の球を通そうとしたら、ほんのちょっと穴が狭くて通らない。
しかたなく玉の一つ一つをドリルに通して穴を広げた。
ドリルをゆっくり回すが、ふとした拍子にドリルビットの回転が「グイーン」という音と主に力強く回るので、かなり注意した。
なにせ指先で小さな球を持っているだけなので握力が無くなってしまうほど力を要した。
それが出来たら、今度はひとつ一つをチェーンに通す。
緑 茶色そして 緑 茶色また 緑 茶色と交互の色になるように通した。
途中で外すとバラバラと音を立てて落ちてどこかに転がってしまうだろうから神経を使うところだ。
全てを通し終えて球が抜けないようにストッパーを付けたら作業完了だ。
これなら20年以上持つに違いない。
だが91歳以上で同じ作業はしたくない。
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