家訓は「遊」

幸せの瞬間を見逃さない今昔事件簿

選べる車で選べない雨

2014-11-12 07:51:13 | Weblog
車の集まりが有りモーガンで参加する申し込みをしてある。

少々寒くてもフロントガラスを倒してレーシングスクリーンで走ろうと思う。

トランクは何を積むか。

革と木で作られた大きなものにするか革だけの物にするか、はたまた若干赤みのある籐を編んだものにするか。

レーシングスクリーンにするなら帽子は、洋服はと、とめどもなく膨らむバリエーション。

だが当日が近づくにつれて雨の公算が増えていく。

「最近の天気予報は直前で変えるから」と最後の望みをつなぐ。

当日、雨は降っていないが確実に雨は降る。

昨日までの準備は、すべて御破算だ。

屋根を着けてトランクは積まないし洋服はレインウエアー。

そんな狭い選択肢の中で唯一といってもいい屋根。

純正の屋根ではなく私が手作りした雨用のトップを着けた。

純正を着けると可視範囲が、かなり減り、ただでさえ下手なバックが最悪になってしまう。

自作の物なら視界はオープンと同じで、しかもちゃんと雨は防げる。

走ってさえいれば雨が振り込むこともない。

同行する皆と合流し、いざ出発。

途中で早くも雨が落ちてきた。

浜名バイパスに入ると雨足は、いよいよ速くなってきた。

浜名湖の今切れ口をまたぐ浜名大橋を渡ろうとするとき時速80キロに達していた。

突然雨が顔に当たった。

「あれ?なんで、この雨」

自作のトップは雨の侵入を許し、まるでオートバイで走っているかのように顔に雨が当たる。

目を開けていられないので帽子をかぶった。

もう気分は最悪で今すぐ自宅に戻ってしまいたいが、それでも皆の待つ会場に向かう。

会場となったのは車とのミスマッチを楽しむための大きな寺だ。

名のある寺の境内は素晴らしい車であふれ次から次に名車が集まってくる。

その観光地化された寺には雨でも観光客が集まってくる。

商売繁盛の御利益があるとかで、そのためには雨は関係ないようだ。

雨のモーガンは濡れたシュナウザーが大きめのネズミに見えるように、その良さを減じてしまう。

屋根付き車で来た連中は、もちろん楽しそうにやっている。

数人の僧の読経が広い本堂に響き渡り、太鼓が打ち鳴らされ厳格とも思える空間に皆と一緒にこもった。

余りに響きが凄すぎて映画のシーンを見ているような思いがしてきた。

赤い袈裟を着た中央の僧の前に勝新太郎扮するところの座頭市が現れ

「世間を惑わす、この悪党め」と言って仕込み杖でバッサリ斬る。

いよいよ私の脳の中にも雨漏りしたらしい。

精進料理を食しても自分の名前入りの御札をもらっても私の気分の回復はなかった。

ボランティアが寺の中を案内してくれるという集まりに仲間が傘をさして向かう中、誰よりも早く会場を去った。







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