テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 彼らに 幸あれ ~

2021-11-30 23:39:15 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ふぁァ~…ぬくぬくッ!」
「がるる!ぐっるる~る!」(←訳:虎です!あったか~い!)

 こんにちは、ネーさです。
 冬用のブーツをお手入れして履いてみれば……
 おお、なんと暖かいことでしょう♪♫
 足取りも軽く帰宅した後は、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~!

  


 
   ―― ワイルドサイドをほっつき歩け ――



 著者はブレイディみかこ さん、
 2020年5月に発行されました。
 『STILL WANDERING AROUND THE WILD SIDE』
 と英語題名が、
 『ハマータウンのおっさんたち』
 と日本語副題が付されています。

 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』他、
 現代の英国事情を描くブレイディみかこさんの、
 このエッセイ作品は――

「ちょうどォ、あのころォなのでス!」
「ぐるるるっる~!」(←訳:ブレグジット~!)

 EUから離脱するか否か。

 2016年6月に
 英国全土で行われた国民投票を背景とする
 『刺青と平和』
 と題した1編から、
 本文は始まります。

 英国に住む人びとの殆どが、
 離脱?
 まさかね~ww
 残留派の方が多いに決まってるじゃん。
 と考えていたのに、
 蓋を開けたら……?

「まさかがァ、げんじつにィ!」
「がるるぐる!」(←訳:みんな仰天!)

 人びとの驚愕や困惑、抗議を置き去りに、
 どんどん進行してゆく、
 いえ、進行と停滞を繰り返すEU離脱。

 そこに加わるのが、
 緊縮財政による
 さまざまな制度の改変……
 いえ、みかこさんは、はっきり
 “改悪”と呼んではばかりません。

 本文57ページの
 『ノー・サレンダー』には、
 みかこさんに全面的に賛成せずにはいられない
 涙また涙の物語が……!

「こッ、これはッ!!」
「ぐるがる!」(←訳:悪夢だよ!)

 緊縮財政が大規模に行われると、
 打撃を受けるのは、お金持ち……ではなく、
 労働者階級だ、とみかこさんは言います。

 みかこさんの住む町でも、
 公共のサービス施設が次々と閉鎖され、
 ついに魔の手は、
 図書館までも……!

「ひひひッ、ひどいィ~…」
「がるるるるる……」(←訳:信じられない……)

 みかこさんの友人、
 スティーヴさんは大の本好き。

 忙しい日々の間の、
 ほんの僅かな時間、
 近所の図書館に行って
 本を読むことは
 彼にとって無上の愉しみでしたが。

 その図書館が、閉鎖……
 いえ、
 コミュニティセンター内に移転させられた挙句、
 子ども向け絵本がちょっぴり、
 などという惨状に陥って、
 スティーヴさんも
 みかこさんも、がっかり……。

「……はァ~…」
「ぐるぅ~…」

 小さな小さな図書スペース。
 騒音がひどくて、
 ゆっくり本を読むなんて出来もしない。

 しかし、スティーヴさんは
 敢えて、そこに通います。

 反骨精神を熱く燃やす彼が、
 その小さな図書スペースでやっているのは
 ……子どもたちへの
 絵本の読み聞かせ?

「あううううゥ!」
「がるるぅる!」(←訳:泣いちゃう!)

 図書館を閉じよ、と政府は言う。
 本なぞどうでもいい、とばかりに。

 いいや、そんなこと許容できんぞ、と
 スティーヴさんは行動で示します。

 本を読む。
 これからも、読む。
 子どもたちと一緒に。

「そうともッ!」
「ぐるる~!」(←訳:読むぞ~!)

 長身で、スキンヘッドで、
 眼光鋭いおっさん、だというスティーヴさん。
 彼に幸あれ!
 と、ここ日本から
 私たち活字マニアは
 スティーヴさんにエールを送ります。

 どうか今頃は、
 図書スペースが拡大されて、
 スティーヴさん好みの御本が
 書棚に並んでいますように……!

「こどもたちィにもォ~」
「がるる!」(←訳:幸あれ!)

 会ったこともない
 海の彼方の市井の人びとに
 限りないシンパシーを感じさせてくれる
 ブレイディみかこさんの力作を、
 皆さま、ぜひ♪
 
 
 
コメント
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