テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 剣ヶ峰に、気象の未来を ~

2023-11-10 22:08:03 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ううゥ~むゥ? しずかァ~なのでス!」

「がるる!ぐるるるがるる~!」(←訳:虎です!虫の音がしない~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 耳を澄ませど、虫たちの歌声が全く聴こえなくなりました。

 気温が高い日が続いていたのになあ、もう冬の入り口かあ、

 と寂しく思いながらも、さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらのノンフィクション作品を、どうぞ~♪

  

 

 

         ―― ようこそ!富士山測候所へ ――

 

 

 著者は長谷川敦(はせがわ・あつし)さん、

 2023年10月に発行されました。

 『日本のてっぺんで科学の最前線に挑む』と副題が付されています。

 

 標高3776メートル、

 富士山頂の剣ヶ峰(けんがみね)に建てられた

 富士山測候所――

 

 その歴史は“冬“に始まりました。

 

「めいじのォ、むかァ~しィ!」

「ぐっるがるるぐる!」(←訳:たった一人で挑戦!)

 

 1895(明治28)年10月1日午前0時、

 ただ一人で、富士山頂での気象観測を開始したのは

 野中至(のなか・いたる)さん、28歳。

 

 これまで誰もやったことがない

 冬の富士山頂での観測は、あまりにも過酷で、

 至さんの手伝いをしようと

 後から山頂の小屋にやってきた妻・千代子さんとの二人体制になっても、

 トラブルは増してゆく一方で、

 野中夫妻は体調を崩してしまいました。

 

 観測を開始して82日、

 12月22日に、至さんたちを心配した人びとに説得され、

 夫妻は下山することに……。

 

「むりもォないィのでスゥ!」

「がるるぐるるがるぐる……!」(←訳:真冬の富士は魔境だよ……!)

 

 なぜ、富士山頂に測候所が必要なのか。

 

 その理由を、

 昭和の時代になって、

 ようやく本格的な測候所が開設されてゆく経緯を記しながら、

 著者・長谷川さんは明快に指摘します。

 

 富士山測候所に備えつけられた富士山レーダー、

 このレーダーができる前とできたあとで、

 大きく変わったことがある。

 

 レーダーができる前は、

 伊勢湾台風(1959年)のような大型台風が襲来すれば、

 数千人の人命が失われてしまっていた……

 

 一方、富士山レーダーが完成した1964年から

 役目を終えて廃止になった1999年まで、

 台風によって100人以上の死者・行方不明者が出たことは、

 一度もなかった。

 

「おおおッ!」

「ぐるるるる!」(←訳:そうなんだ!)

 

 科学に何ができるのか。

 

 富士山測候所の始まりから、

 強風にも耐え得る建物と

 観測機器を完備した測候所の設計・準備や、

 完成までの困難極まる道のり、

 高所に滞在する疲労と苦労、

 測候所廃止後も学術活動を継続させること。

 

 明治の昔から、

 現在の測候所と、

 気象の未来をも遠望するノンフィクション作品は、

 大人な活字マニアさんはもちろん、

 科学好きな小学生さんにもおすすめですよ。

 本屋さんで、図書館で、

 ぜひ、探してみてくださいね~♪

 

 

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~ ころろん、ころん、と海を越えて ~

2023-11-09 22:08:22 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 むむッ! ほんきでェ~ころもがえェ!」

「がるる!ぐるるがるぅ?」(←訳:虎です!寒気が来るぅ?)

 

 こんにちは、ネーさです。

 冬の寒さが数日後にやって来る、と予報が出ていて、

 これは真剣に衣替えしなければ……!

 コートやブーツのお手入れをしながら、

 さあ、空き時間は読書タイムですよ。

 本日は、こちらのノンフィクション作品を、どうぞ~♪

  

 

 

          ―― 玉村豊男のポテトブック ――

 

 

 著者は玉村豊男(たまむら・とよお)さん、

 2023年9月に発行されました。

 ポテトだぁ~い好き!という御方は、

 きっと大喜びしちゃう《ポテト本》ですよ。

 

「ほくほくゥ~ぽてとさらだァ!」

「ぐるるるるがるる!」(←訳:シンプルにフライ!)

 

 焼いたり揚げたり蒸したり裏漉ししたり、

 洋食にも和食にも、おつまみにもおやつにも、

 さまざまなシーンでポテンシャルの高さを発揮してくれる

 偉大なる植物――ポテト。

 

 この御本は3つのパートから構成されていて、

 『ポテトをめぐる物語』

 『ジャガイモという不思議な植物』

 『ポテトの調理法』

 のうち、

 レシピを究めたい方々には、もちろん

 『ポテトの調理法』

 がお勧めなんですけれども。

 

 私ネーさが、なるほど~と唸ったのは、

 断然『ジャガイモという不思議な植物』でした。

 

「どこからァ~きたのかッ?」

「がるるぐる?」(←訳:どんな植物?)

 

 ジャガイモくんたちの出身地は、南半球。

 アンデスの山の中の、

 富士山よりも標高が高いチチカカ湖の辺りが生誕の地、でしょうか。

 

 紀元前5世紀、今から7000年くらい前のこと、

 イモをつける草を見つけた住民は、

 それを大切に育て、栽培化に成功した、と思われます。

 

 野生種のジャガイモは、およそ150種。

 そこから、住民たちが栽培化に成功した栽培種は、わずか7種。

 そして、7種のうちのたった1種が、

 16世紀のヨーロッパに伝わりました。

 

「ふァ? たッたァ~ひとつゥ?」

「ぐるがる!」(←訳:1種だけ!)

 

 本文44ページに、著者・玉村さんはこう書いています。

 

    その1種から、

    世界中で5000を超えるともいわれる

    今日のジャガイモ品種が生まれたのだ。

 

 ……ああ、ごく短い文章の向こう側に、

 人類の歴史がぐわーんと起き上がってくるような。

 

「そうだいィ~でス……!」

「がるるるっる!」(←訳:パノラミック!)

 

 おそらく、最初に見つけた野生のジャガイモの実は、

 本当に小さな、小粒な実であったものを、

 選抜と栽培を繰り返し、

 どうにかこうにか“食べられる”実が成るくらいに育て上げ。

 

 そのおイモが大西洋を渡って、

 まったくの異郷で土の違いや天候の違いに苦労して

 やっと受け入れられたところで、

 疫病で全滅しかけたり、

 頑丈な新品種が作られたり、

 気付けば、ジャガイモは

 文字通り“世界中“に。

 

「のォーぽてとォ、のォーらいふゥ!」

「ぐぅるるるがるるるぐるがる!」(←訳:ジャガイモなくして人類なし!)

 

 形は地味でも、

 私たち人間が必要とするもの。

 なくてはならないもの。

 

 エッセイとして、

 歴史ノンフィクションとして、

 レシピ本としても読める

 ユニークなポテトブックです。

 美味しいもの好きな方々も

 歴史マニアな活字マニアさんも、

 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪

 

 

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~ 書物で《やまと絵》の世界へ ~

2023-11-08 22:08:20 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス! 

 りッとうゥ~でスよゥ~!」

「がるる!ぐるるるがるる~?」(←訳:虎です!明日から寒そう~?)

 

 こんにちは、ネーさです。

 2023年の立冬は、今日11月8日ですね。

 椿の花が開き、冬らしく気温が下がりはじめる頃……

 そんな日の読書タイムは、

 さあ、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

           ―― 近世やまと絵50選 ――

 

 

 編者は東京国立博物館の皆さん、2023年9月に発行されました。

 『50Masterpieces of Edo-period Painting』と英語題名が、

 『東京国立博物館所蔵 江戸絵画の名品』

 と日本語副題が付されています。

 

 現在(2023年10月11日~12月3日)、

 東京国立博物館で開催されている

 特別展『やまと絵―受け継がれる王朝の美―』の

 関連書籍、と御紹介すべきでしょうか。

 

「……でてェるんでスゥ!」

「ぐるがるるるるる!」(←訳:あのウサギたちが!)

 

 《やまと絵》とは、

 (ものすごく簡略に言ってしまいますと)

 平安時代以降に発達した

 日本風の絵画、を指すものです。

 

 その代表例として、

 東京国立博物館の『やまと絵』展で展示されているのは、

 国宝の『源氏物語絵巻』『信貴山縁起絵巻』、

 重要文化財の『紫式部日記絵巻断簡』『百鬼夜行絵巻』

 といった日本文化史上の超名品ばかり。

 

 そして、み~んな大好きなウサギのあれ――

 『鳥獣戯画』も出展されているんですね。

 

「かえるさァ~んッ!」

「がるるるるる!」(←訳:キツネさんも!)

 

 はいはい、落ち着いてくださいな。

 『鳥獣戯画』全4巻中の大々人気巻『甲巻』の展示は

 残念ながらもう終了してしまいました。

 現在展示されているのは『丙巻』(~11月19日まで)、

 その後は『丁巻』(11月21日~12月3日)の展示が予定されていますよ。

 

 この御本では、

 『鳥獣戯画』の紹介&解説は収録されていませんが、

 Ⅰ『やまと絵の系譜―四季の景物、名所の情景―』

 Ⅱ『近世やまと絵の担い手たち』

 Ⅲ『近世やまと絵と宮廷』

 と3つのパートに分けて、

 東京国立博物館が収蔵する

 《やまと絵》50作品が取り上げられています。

 

 その中で、

 私ネーさが泣きそうになったのは、

 

 長谷川久蔵さん筆『大原御幸図屏風(おおはらごこうずびょうぶ)』。

 

「あづちィももやまッ?」

「ぐるるがるるる!」(←訳:黄金の六曲一隻!)

 

 久蔵(はせがわ・きゅうぞう)さんの父は、

 長谷川等伯(はせがわ・とうはく)さん(1539~1610)。

 

 久蔵さんは、等伯さんの長男として、

 長谷川派の次代のリーダーとして、

 周囲の期待を一身に担う存在でした。

 しかし、文禄6(1593)年、26歳の若さで急逝……

 

 その久蔵さんが遺した作品が、

 東京国立博物館で大切に保管されていて、

 こうして書物に掲載され、

 《やまと絵》の名品であると認められているなんて、

 なんだか胸が熱くなります。

 

「もしィ、できるゥならァ~」

「がるるるぐるるるるがるるる!」(←訳:いますぐ久蔵さんに教えたい!)

「あいされてるぞォ~!!」

 

 特別展《やまと絵》は12月3日まで、

 土日祝のみ事前予約制で(←ここ注意!)

 絶賛開催中!

 (期間中、展示替えがあります。

  詳細は公式HPをご参照くださいな)

 

 上野へお出掛けできない御方は、

 ぜひ、書物で《やまと絵》を楽しんでみてくださいね~♪

 

 

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~ 最強で最高の悪役! ~

2023-11-07 22:08:42 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 はとりィせんせェ~いィ!」

「がるる!ぐっるるるるぅ!」(←訳:虎です!待ってましたぁ!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 朝ドラ『ブギウギ』に今週から草彅剛さんが本格登場!

 つよぽん演じる羽鳥善一さんの大活躍を祈願しつつ、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、『ブギウギ』つながりのエンタメ系作品ということで、

 こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

    ―― 世界でいちばん殺された男 ダニー・トレホ自伝 ――

 

 

 著者はダニー・トレホさん&ドナル・ローグさん、

 原著は2021年に、日本語版は2023年5月に発行されました。

 英語原題は『MY LIFE CRIME,REDEMPTION,AND HOLLYWOOD』、

 映画俳優ダニー・トレホさんの自伝作品です。

 

「なんたるゥ~こわもてッ!」

「ぐるがるるぐるるる……!」(←訳:一目見たら忘れない……!)

 

 ダニー・トレホさん。

 1944年生まれのメキシコ系アメリカ人であり、

 映画好きな方々はきっと、

 あ!この顔知ってる!見たことあるわ!

 と心当たり大ありの俳優さんですよね。

 

 強い目ヂカラと、低音の声、

 独特というしかない風貌と、存在感――

 

 多くの映画やドラマで悪役を演じ、

 現在は“善いヤツ“な役柄でも人気のトレホさん、

 俳優としてブレイクするまでの人生は、

 ……えっ? 本物の“悪いヤツ“……!

 

「たたたッ、たいへんッ!」

「がるぐるるぅっる!」(←訳:収監されちゃった!)

 

 マリファナに手を出したのは、8歳のとき。

 強盗で初めて投獄されたのは、15歳。

 

 トレホ家の人間は刑務所にいるのが当たり前、

 という環境で育ち、

 薬物中毒になりながら少年院や刑務所を出入りして……と、

 ダニーさんの少年時代は

 さながらダークサイドを転落してゆく若者の見本のようです。

 

 しかし、20代後半で薬物を断ち切ったトレホさんは、

 転落のサイクルから脱出しようと決意します。

 

 その第一歩が、

 映画のエキストラだったのでした。

 

「ちいさなァいッぽがァ~」

「ぐるるるがるる!」(←訳:ぐんぐん伸びる!)

 

 エキストラにもランクがあるようで、

 単なる背景としてのエキストラから、

 強面ぶりに目を留められて、ちょっと上のエキストラへ。

 いえ、ちょっと上どころか、

 ダニーさんはボクシングが出来る!と気付いた監督さんの抜擢で、

 一気に正キャスト入り……!

 

「はぷにんぐゥ、でスねッ!」

「がるるぐるるる!」(←訳:最高の意味での!)

 

 幸運の女神からの投げキッス。

 

 降ってきた幸運を、

 ダニーさんはしっかり受け止め、握りしめます。

 

 主要な出演作品は、

 デビュー作となった『暴走機関車』(1985)、

 『ヒート』(1995)、

 『デスペラード』(1995)、

 《スパイキッズ》シリーズ(2001、2002、2003)、 

 そして、初の主演となる

 『マチェーテ』(2010)。

 

 そう、いまダニーさんの心を動かすのは、

 麻薬や札束などではなく、

 演じる、演技すること、そのもの。

 

「しんらいィ、なのでス!」

「ぐるがるるぐるるる!」(←訳:信頼できる悪役さん!)

 

 ガチガチの悪人や囚人の役どころを

 誠実に演じるダニーさんの俳優人生を彩るのは、

 ロバート・デ・ニーロさんをはじめ、

 名優さんや、名監督さん、名スタッフさんたち。

 

 《世界でいちばん殺された》悪役顔で、

 でも実際は、

 薬物依存に苦しむ人びとを救う善行にも尽力する

 ダニー・トレホさんの半生記は、

 映画好きな活字マニアさんに、

 ぜひのおすすめですよ。

 本屋さんで、図書館で、探してみてくださいね~♪

 

 

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~ お城に、平和を ~

2023-11-06 22:08:18 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 くうゥ~! おおさかァ~うらやましィでス!」

「がるる!ぐるがるるるるる!」(←訳:虎です!街は大盛り上がり!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 阪神タイガースが日本一に!

 当然ながら阪神百貨店では特大SALEが!

 羨望しつつも、よいお買い物をしてくださいね~と

 大阪っ子の皆さんにエールを送りつつ、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

          ―― 美しすぎる夢のお城図鑑 ――

 

 

 編者は世界のお城研究会の皆さん、2023年7月に発行されました。

 御本の帯に『まるでファンタジーみたいなお城100』とある通り、

 世界遺産になっているお城、

 観光スポットになっている人気のお城、

 ディズニーやジブリ映画のモデルになっているお城など、

 100のお城が紹介されています。

 

「おとぎィばなしィのォ、おしろッ?」

「ぐるるるがる~…ぐるるるがる!」(←訳:いやいや実は~…ワケあり多数!)

 

 表紙になっているのは、

 皆さま御存知の、ノイシュヴァンシュタイン城(ドイツ)。

 ディズニー映画『眠れる森の美女』のお城のモデルになった

 ヴィジュアルの点ではまさに無敵!なお城ですが、

 膨大な建築費のため

 バイエルン王国の国庫は破綻の危機に……

 王座を追われたルートヴィヒ2世は湖で不審死……

 ええ、美しいのよ、美しさはピカイチ、なんですけどねえ。

 

「こッちもォ、すごいィでス!」

「がるるるぐるる~!」(←訳:激戦地のお城だ~!)

 

 ドイツ、フランス、イタリアやスペイン、チェコ……と、

 ヨーロッパのお城が取り上げられてゆく中、

 ぽつんとひとつ、浮き上がって見えるのは、

 

 クラック・デ・シュヴァリエ。

 

 中東シリアとレバノンの国境近くの丘陵地、

 標高650mの丘上にそびえるお城です。

 

 そもそもは、この土地にあった砦を

 1099年に攻略した十字軍(聖ヨハネ騎士団)が建て直したもので、

 十字軍に参加した王侯貴族や有力騎士団が駐屯したり、

 敵勢力に奪われたり奪い返したりと、

 “最前線の城“そのものの歴史を辿ってきました。

 いえ、辿っている、と訂正すべきでしょうか……

 

 かつて、

 T・E・ロレンスさんが『世界で最も素晴らしい城』と讃え、

 《世界の名城25選》に選出された城は、

 21世紀の現在、

 武装勢力の拠点となったことで

 シリア空軍による空爆を受け、塔や天井部分が被災、

 その後、ようやく修繕作業が開始されて

 2022年にようやく完了、と思ったら。

 

「いまはァ、いッたいィ~…」

「ぐるるっるがるるる……」(←訳:どうなっているのか……)

 

 王族の住居や、

 政治の場としてのお城はともかく、

 戦地の、紛争地の城に課せられる運命。

 

 美しい、けれど美しいだけでは終わらず、

 深い闇をも抱く城たちの図鑑は、

 お城&建築マニアさんに、

 歴史好きさんにおすすめですよ。

 戦火が一刻一秒も早く止むよう祈りつつ、

 皆さま、ぜひ、一読を。

 

 

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~ 色から一歩を。 ~

2023-11-05 22:08:13 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 けッせんッ! せきがはらァ~!」

「がるる!ぐるるがるるるる!」(←訳:虎です!今回は西軍勝利で!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 大河ドラマ『どうする家康』では、天下分け目の合戦の火蓋が!

 もしもここで、西軍が勝ってしまったら物語は……?

 などとSF的妄想にニヤつきながら、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

            ―― 粋な色 野暮な色 ――

 

 

 著者は坂井希久子(さかい・きくこ)さん、

 2023年9月に発行されました。

 《江戸彩り見立て帖》シリーズの第3作です。

 

「わほゥ! おあやさァ~んッ!」

「ぐるるるるが~る!」(←訳:お久しぶりで~す!)

 

 主人公の彩(あや)さんが、

 第1作『色にいでにけり』で登場した時は、

 腕の良い摺師だった父が火事のために失明し、

 仕事場と仕事を失って、

 娘の彩さんも縁談話を失くして、と

 “失“尽くしのどん底状態でした。

 

 そんなどん底に光が差したのは、

 お彩さんの見立てのチカラが、きっかけで。

 

「いがいなァ~ちからッ!」

「がるるるるぐるっる?」(←訳:ありそうでなかった?)

 

 それは、

 現代で謂う、カラーコーディネート。

 

   この色をまとえば、

   肌の色にもよく映えて、

   目鼻立ちがくっきりするし、

   帯にはこの色を合わせれば

   全体がしゃっきりして、若々しくなる。

 

   こちらの色は、ああ、似合わない……

   顔色がくすんでしまうし、

   手持ちの帯の色との相性も悪い。

   それよりは、あちらの方が。

 

 というような、色を見立てるチカラ=センスを

 お彩さんは備えていたんです。

 

「ならばァ、さッそくゥ!」

「ぐっるぅるるる!」(←訳:使っちゃおうぜ!)

 

 呉服店『塚田屋』さんは、

 京から江戸へ進出してきたばかり。

 お店をもっと繁盛させようと、

 お彩さんは『塚田屋』店内で

 色見立てをすることになりました。

 

 つまりは、

 反物をお買い上げしてくれたお客さんに

 カラーコーディネートを提案するサービス、

 といったところで、

 けっこう好評なんですよ。

 

「ふうゥ、まいちにィ~いそがしィ!」

「がるるぐるるがるる~!」(←訳:そこに年末もプラス~!)

 

 『塚田屋』さんが、いえ、お江戸のあらゆるお店が、

 忙しさにキリキリ舞いし始める年の瀬。

 お彩さんは新しいミッションに取り組む羽目になって、

 眉間にシワを刻んでいます。それは、

 

   色を、売り出す。

 

 或る色を、

 これが最新の流行色!

 と、売り出さなくてはならないんです。

 

 大いに売り出して、

 それにお客さんが乗ってくれればOK!ですけれど、

 はたしてそう上手くゆく、んでしょうか。

 何か工夫が、

 特別な工夫が、要るのでは……?

 

「かんがえェ~なくちゃッ!」

「ぐるるるがるるぅるる!」(←訳:ナイスなアイディアを!)

 

 カラーコーディネーターに加えて、

 お彩さん、宣伝&広報のお仕事にも?

 

 どうか上首尾に行きますように、と

 お彩さんの健闘を祈りたくなる

 時代小説/お仕事小説は、

 歴史好きな活字マニアさんに、

 着物好きな方々にもおすすめです。

 書店さんの文庫コーナーで、

 ぜひ、探してみてくださいね~♪

 

 

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~ 秋の上野で、《和食》三昧! ~

2023-11-04 22:08:38 | ミュゼ

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 あきはァ~みのりのォきせつゥ!」

「がるる!ぐるるがるるるるぅる!」(←訳:虎です!謹んで受取りましょう!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 季節の恵みを実感&体験したいなら、

 たまには読書をスパッとお休みして、

 さあ、↓こちらの展覧会情報を、どうぞ~♪

  

 

 

              ―― 和食 ――

 

 

 東京・上野の国立科学博物館にて、

 会期は2023年10月28日~2024年2月25日

 (月曜休館、ただし12/28~1/1の年末年始と、1/9、2/13は休館、

 12/25、1/8、2/12、2/19は開館)、

 『Special Exhibition WASHOKU』と英語題名が、

 『日本の自然、人々の知恵』と日本語副題が付されています。

 

「おおゥ! とれェびあんッ!」

「ぐるるるがるる~!」(←訳:ステキな企画だ~!)

  

 《和食》がユネスコ無形文化遺産に登録されて10年――

 

 この展覧会では、

 世界中の食いしん坊さんたちからの熱い視線を集める《和食》を、

 科博さんが所蔵する標本や資料とともに、

 多角的に紹介してゆきます。

  

 《和食》とは?

 その成り立ちとは?

 日本列島が育む《和食》の食材、

 《和食》の技術や美、

 現代の《和食》と未来の《和食》……

 と、展示の数々を堪能した後は。

 

「これッ! これでスゥ!」

「がっるぐるるがる!」(←訳:グッズ発売中だよ!)

  

 誕生20周年を迎える超人気キャラクター《リラックマ》と

 《和食》展がコラボして、

 ミュージアムショップでは

 展覧会限定のぬいぐるみたちが好評販売中!

 

 他にも、《和食》をモチーフにしたマグネットやピンバッジ、

 和菓子の『とらや』さんからは

 《展覧会オリジナル掛紙 小型羊羹(3本入)》が

 限定販売されていますよ。

 

「ほしいィ~!」

「ぐるるる~!」(←訳:食べたい~!)

 

 腹ペコさんたちのハートに火をつける

 特別展《和食》へ、

 ぜひ、お出掛けを♪

 

 

   では、ここでオマケ画像も……しゃらら~ん!

   

   月刊誌『VoCE(ヴォ―チェ)』12月号では、

   ベストコスメや、老けないコスメの特集をしていますよ。

   たくさんオマケが付いていて嬉しいわ♫

   「かんそうゥたいさくゥ、しなくちゃッ!」

   「がっるーるるぐる!」(←訳:マッサージも必須!)

   ええ、そろそろ喉やお肌が乾燥するシーズンですので、

   皆さま、お手入れ怠りなく、健やかな休日をお過ごしくださいね~♪

   

 

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~ 《歴史》の遠眼鏡 ~

2023-11-03 22:08:46 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでスゥ!

 ぽかぽかのォ、しゅくじつゥ~でスよッ!」

「がるる!ぐるがる~!」(←訳:虎です!小夏日和~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 青天快晴で気温は夏日?となった《文化の日》ですね。

 熱中症にならぬよう気を付けながら、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらの新書作品を、どうぞ~♪

  

 

 

           ―― 恋愛の日本史 ――

 

 

 著者は本郷和人(ほんぼう・かずと)さん、

 2023年7月に発行されました。

 大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の放送時に、

 日本中世史のプロフェッショナル解説者として

 すっかり有名になった本郷さんが新たに送り出してきたのは、

 日本史と《恋愛》の係わり……?

 

「むむむゥ! それこそォ、なぞッ!」

「ぐるるがるるるぅ!」(←訳:永遠のミステリィ!)

 

 数式や法則では割り切れない永遠の謎、《恋愛》――

 

 この御本では、

 第一章『日本は本当に性に大らかなのか?』

 第二章『源氏物語の時代』

 第三章『中世の男と女』

 第四章『戦国武将の性愛』

 第五章『江戸時代は《男尊女卑》社会か?』

 と、5つの章に分けて

 日本史に刻まれた”恋愛ネタ”を取り上げてゆきますが。

 

 なんといっても、

 著者・本郷さんの筆がいっちばん活き活きしているのは、

 来年の大河ドラマ『光る君へ』とリンクする

 第二章の『源氏物語の時代』……?

 

「うふふふゥ!」

「がるるぅ!」

 

 21世紀の現代にも多大な影響を及ぼす

 『源氏物語』とは、

 どのような物語なのか。

 作者である紫式部さんとは、

 どのような人物なのか。

 

 光源氏さんの恋愛遍歴に一応触れつつも、

 本郷さんが注目するのは、

 紫式部さんの教養の深さ。

 

 紫式部さんの父・藤原為時さんは、

 官僚であり、漢詩人さんでもありました。

 このお父さんから紫式部さんは、

 古典を勉強して文章を書くこと、

 朝廷が定めた律令を学ぶこと、

 論語など中国の哲学や文学を学ぶこと、

 計算や算数などの算法に通ずること等の、

 当時の貴族の基礎教養を授けられています。

 

 男性貴族なら珍しくもない、

 しかし、貴族の女子にとっては異例の、

 博識と、知力。

 

 やがて、

 左大臣・藤原道長さんが『源氏物語』のファンになったことから、

 紫式部さんは中宮・彰子さんの女房兼家庭教師に

 スカウトされて。

 

「ほんもののォ、きゅうちゅうゥ!」

「ぐるるがるる!」(←訳:本物の殿上人!)

 

 気付けば、いつの間にか、創作者の自分自身が

 物語の世界の只中にいる。

 

 紫式部さんの胸の内に

 どのような想いが生まれたのか、

 お尋ねしてみたいものですね。

 

 おっと、話がだいぶ『源氏』ばかりに偏ってしまいましたが、

 本郷さんは、和泉式部さん、在原業平さん、

 鎌倉の北条一族や巴御前の恋愛エピソードにも触れていますよ。

 

「よしときィさァ~んッ!」

「がるるるるぐるがる!」(←訳:なつかしの執権どの!)

 

 恋愛という遠眼鏡で望み見る、

 日本史の山河。

 

 《文化の日》におすすめの歴史ノンフィクション作品です。

 大河ドラマファンの方々は、予習のためにも、

 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪

 

 

 

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~ それは、100年前の。 ~

2023-11-02 22:08:41 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 あしたからァ~れんきゅうゥでスよゥ!」

「がるる!ぐるるるがる!」(←訳:虎です!秋旅日和だよ!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 お天気に恵まれそうな秋の連休……

 紅葉狩りに行こうか、おイモ掘りなんんてどうだろう?

 いや!僕は/私はインドア派だぞ!混雑時のお出かけはパス!

 という御方は、さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらのノンフィクション作品を、どうぞ~!

  

 

 

         ―― 文豪たちの『九月一日』 ――

 

 

 編著者は石井正己(いしい・まさみ)さん、

 2023年7月に発行されました。

 『関東大震災百年――』と副題が付されています。

 

 1923年(大正12年)の9月1日、

 相模湾西北部を震源地とする

 マグニチュード7.9の巨大地震が発生しました

 (相模湾沿岸での震度は7)。

 死者・行方不明者は10万5千人、

 全壊・焼失家屋は57万戸、

 被災者総数は340万人……

 

 ”被災者“の中には、

 小説家さん、詩人さん、評論家さん、画家さんもいて、

 この御本では、“被災者“となった彼らの

 体験談や目撃譚が紹介されています。

 

「あくたがわァりゅうのすけェさんッ!」

「ぐるるるるるるがるるるる!」(←訳:志賀直哉さんに菊池寛さん!)

 

 今年、夏から秋にかけて注目されたのは、

 竹久夢二さんが『東京災難画信』で報じた被災者さんの姿や、

 映画『福田村事件』に描かれた残虐な事件など、

 関東大震災が生んだ悲劇的な事象でした。

 

 天災と、人災。

 

 文豪さんたちはそれぞれの視点から、

 “私の見た震災“レポートを綴ってゆきます。

 

「ゆれるゥだいちィ!」

「がるるぐる!」(←訳:混乱と焦燥!)

 

 以下は飽くまで私ネーさの個人的な感想ですが、

 この御本の中で、最も冷静に、

 最もジャーナリストに等しい立ち位置から、

 “現場で何が起きたか“

 を詳しく書き記したのは、

 泉鏡花さんではないでしょうか。

 

 現代では《幻想と怪奇》の作家として知られる鏡花さん、

 大正12年10月に発表した『露宿』に、

 地震発生時の地鳴りや、

 隣家の者たちと裸足で外へ飛び出したこと、

 火事を警戒して火の元の始末をしたこと、

 台所から葡萄酒を2本持ち出して

 近所の人たちと分けあって飲んだこと等を

 時間の経過に沿って記述してゆきました。

 

「みんなでェ、たすけあいィ!」

「ぐるるるるるがるる!」(←訳:ご近所さんの有難さ!)

 

 一方、鏡花さんとは異なる目線で

 震災を眺めた作家さんもいます。

 

 軍隊が無かったら安寧秩序が保てなかったろう、

 礼賛すべきものはやはり威光燦たるサーベルではあるまいか、

 と著したのは、佐藤春夫さん。

 

 震災後の荒んだ東京の街に

 悪夢を読み取る夢野久作さん。

 

 思想家・大杉栄さんを襲った惨禍に

 愕然とする内田魯庵(うちだ・ろあん)さん。

 

 未曾有の災害は、

 そこに居合わせたすべての人びとのこころを

 波立たせずにはおきません。

 

「ひゃくねんまえッ、のできごとォだけどォ~…」

「がるるぐぅるるるる!」(←訳:他人事じゃないよう!)

 

 どうか、こんな悲劇が

 繰り返されることがありませんように、

 とただ祈りながら。

 

 全活字マニアさんにおすすめしたい災害の記録です。

 本屋さんで、図書館で、ぜひ、探してみてくださいね。

 

 

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~ さとりちゃんと、夏の風 ~

2023-11-01 22:07:05 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 きょうはァ~……むむッ! おおいィ~?」

「がるる!ぐるるるがるるる!」(←訳:虎です!記念日がたくさん!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 今日11月1日は《本の日》!

 ……でもって、《犬の日》で、《紅茶の日》で、《古典の日》で

 《すしの日》と《いい街の日》と《灯台記念日》と……

 えーと、だんだん混乱してきましたので、

 ↓こちらのコミック作品で読書タイムに行ってみましょう~♪

  

 

 

        ―― 銀太郎さん お頼み申す 3 ――

 

 

 著者は東村アキコ(ひがしむら・あきこ)さん、

 2023年9月に発行されました。

 

 奥深く、底知れ~ぬ《和文化》の世界……

 

 先日ご紹介しました『爛漫ドレスコードレス』は

 チンアナゴの帯に惚れ込んで着物の良さに目覚める

 若い女性が主人公でしたが、

 こちら『銀太郎さんお頼み申す』は、

 着物美女さんに心惹かれて《和文化》の深海にダイブする

 岩下さとりちゃん(25歳)を中心とする物語です。

 

 着物美女の銀太郎(ぎんたろう)さんと出会い、

 お着物を着せてもらったり、

 お花見に出かけたり、

 着物のことばかり考える10ヶ月が過ぎて、

 さとりさん、この第3巻でついに!

 自分で着付けに成功~!!

 

「わほゥ! やッたでスねッ!」

「ぐるがる~!」(←訳:拍手喝采~!)

 

 紐や伊達締めなどの着付け小物は、

 手の届くところに使う順番に並べておく。

 ヒモはそんなにきつく締めなくても

 布同士の摩擦でけっこう固定される。

 帯はクリップで先にお太鼓の形を作ってから結ぶ。

 

 といったネットやYou Tubeで得た知識と、

 毎晩必死に練習した成果です。

 

 もちろん、銀太郎さんのように綺麗には着れない、と

 さとりちゃん自身も分かっていて、

 もっと勉強しなきゃ!と決意表明してみれば。

 

「いちばんのォ、べんきょうゥはァ~」

「がるぐる!」(←訳:買うこと!)

 

 銀太郎さんは言います。

 

   着物は、買うのがいちばん勉強になる。

   身銭を切って買った着物が、色んなことを教えてくれる。

 

 そうして向かった先が――

 

「ぎッ、ぎんざッ??」

「ぐるるがるるる!!」(←訳:銀座でお見立て!!)

 

 ずらりと並ぶ反物の中に、

 さとりちゃんは見つけられるのでしょうか、

 “自分のため“の着物を。

 

「どれがァいいィかなァ~♫」

「がるるる~♪」(←訳:迷うよね~♪)

 

 教科書に載っていた文化や歴史のあれこれは

 ちっとも憶えていないけど、

 学びたい、知りたいと強く願い、

 自力で調べて学んだ事柄の数々は、

 きっと忘れない、

 きっとさとりちゃんの頭脳とこころに沁み込んでゆく。

 薄れてゆくことはない。

 

 頼りないように見えて、

 実は逞しく、幸運の持ち主?なのかもしれない

 さとりちゃんの着物世界冒険譚は、

 アート好きさんに、

 歴史好きな活字マニアさんにもおすすめです。

 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 

 

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