第 5300回の 「雇用と富 を日本に取り戻す」や第 5298回の 「見 えてきた原発ロボ」でも書いたように、日本再生の為に、安倍さんが最もふさわしくないと思える竹中氏 をブレーンとするほど最も苦手としていると思われる経済や雇用体系をどうすべきかが気にかかって仕方があり ません。
ところが、偶然でしょうか、そんな解決策を教えてくれるような本を読みました。
この部屋を始めたすぐの、第 3話で取り上げた出光佐三さんの「馘首(かくしゅ)してはならぬ」は何時も私の胸に残っている言葉です。
自分が大した仕事もしない癖に、何時も日本の経営者を批判ばかりしている私ですが、本田宗一郎さんとともに印象に残 る経営者です。どちらの会社も私を採用してくれないのは分かってますが、一度はその下で働いてみたかった方です。
その、名前を、又目にしたのは、あの話題の「永遠のゼロ」の百田尚樹さんのもう一冊「海賊とよばれた男」のモ デルが あの 出光佐三さんだと知った時でした。
ゼロ戦も好きですが、あえて読もうとも思わなかったのですが、海賊とよばれた男が出光さんとなると、俄然読みた くな りました。
とは言いながら、ネットを遣り出して以来ほとんど読書はしなくなり、ましてや購入なんてことは贅沢の極みとなっ てい たのでほとんど諦めていました。
ところが、第313回の、ねずさん「第二巻」 発売 のように去年の秋ごろから図書館にみんなに読んでもらいたい本を購入してもらうという密かな運動を始めた所為で、この本 がすでに蔵書としてあることを知り、貸出の予約を申し込んでいました。
それが、坂出ではなく丸亀にあったということで借りることができ、早速読みました。
出光さんの名前は国岡鐵造さんとなっていたので一瞬、主人公は後から出てくるのかなと思いましたが、やはり、 この 人が そうでした。名前を変えているということはフィクションとして書いているのかもしれないですね。
それはともかく、やはり、すごい人でした。こんな経営者の下で働いてみたかったとの思いはますます募りました が、や はり、私のような軟弱物は採用されないだろうし、きっと付いて行けなかったでしょうね。
全二巻でしたが、最初から目に涙が止まりませんでした。中身は私のつたない文では紹介する自信がありません が、是 非読んでみてください。感動の嵐でした。
こんな感動の物語を書ける百田さんにますますNHKの改革を期待してしまいます。
たった一つ笑ったのは永遠のゼロの宮部さんとの上海の飛行場での一瞬の出会いが書かれていたところです。遊んで ます ね。
さて、最初に書いた、日本再生の解決策のヒントは終章の国岡鐵造とアンドレ・マルローとの対談にありました。
…略
マルローは国岡商店のありようにも質問した。出勤簿もなければ、組合もない、定年もないという国岡商店のルール は、マルローにとっては驚きに満ちたものだった。なぜそれが他の会社でできないのか訊くマルローに、鐵造は答えた。
「社員に対する信頼がないからです」
マルローは、その考え方は国家にも当てはまるだろうかと訊ねた。
「あらゆることにあてはまります」
鐵造はそう答えた後で、「私は、人間を信頼するという考え方を広めていくことこそ、日本人の世界的使命と言ってい ます」と付け加えた。
マルローは、鐵造の「ヨーロッパは物を中心とした世界ですが、日本は人を中心とした世界です」という言葉に深い 感銘を受けたようだった。…以下略
もう一つ私がわが意を得たりと思ったのは株式の上場をしないのは会社は株主の者じゃなく従業員のものだという 信念です。
いずれにしても、マルローが感銘を受けた言葉は今や、日本中の経営者が忘れている言葉じゃないでしょうか。
今の経営者の中にこの心意気の分かる人がどれだけいることでしょう。それがない限り、日本の再生は難しいといっ ても過言ではないでしょう。