第5298回の 「見えてきた原発ロボ」 で人口減少の解消を目指すべきと書きました。その雇用に関する記事でもう一つの大問題である企業の海外 進出による空洞化現象を克服する良いアイデアがありました。
しかし、産業の空洞化により国内を衰退させる失敗を先導したアメ リカがそれに気が付いたようです。日本の政府はそれに気が付いているとは言えないようです。
「宮 崎正弘の国際ニュース・早読み」より 平成26(2014)年2月21日(金曜日)貳通巻第4156号
読 者の声 どくしゃのこえ
(読 者の声1)《やっぱりア メリカはやるな~》 私は先週「アベノミックスとトライヤノミックス」という表題で、グローバル化世界の中 で日本企業が海外にみす みす垂れ流している雇用と富を日本に取り戻す事こそが、アベノミックスの役割だと投稿しました。そして塩野七生氏の下記御意見A.をヒントとして紹介しま した。同時に、そうは言っても日本の“専門家”は今の国際社会ではそんな方策は不可能だと決めつけるだろう とも書きました。
A.「ローマ皇帝トライヤヌスは、大規模農園主が属州 で得た果実の3分の一を空洞化した本国に投資させる方 策を導入した。日本企業も世界中で稼いだ自社の資力の無視できない量を日本に戻し、国内で国際競争力を持つ製品の製造に取り組む“本国空洞化阻止戦略“に 挑んではどうか。国全体の活力の為に、経営者だけに頼らず、労働組合・政治家・官僚・金融機関・マスメディア一 体となって知恵を絞る必要がある。」
ところが、本日の日経新聞『アメリカどこへ―経済再生 の鼓動』という下記記事B.でこんな事が報じられています。やはりアメリカは国益の為には日本の専門家のような 否定的思考回路に自縛されることなく斬新な方策を開発してゆくな~と羨ましく思いました。
B.「メリーランド下院議員(民主党)ジョン・デラ ニー氏は共和党議員と組んで、「米国の為のパートナー シップ」法案を提出した。米国では老朽化した高速道路や橋など社会資本の改修が課題になっているが、財政が悪化した連邦・州政府にはお金がない。デラニー 案では、海外展開する米国の大企業に50年物の債権を売って基金を創り、社会資本整備を進める。企業には債権を 買った額に応じ、海外に留保している利益を 無税で米国内戻す優遇措置をとる。「社会資本整備を進めたい民主党と、企業の資金を国内に戻したい共和党。法案はその両方に応えるものだ」とデラニー氏。 支持は少しずつ広がり、今年1月には上院にも同じ法案が提出された。順調に行けば年内に債権を発行できる見通し という。 (足立)…以下略
凄いですね、ローマ時代に既に空洞化に悩まされてい たとは想像もしませんでした。人間は歴史に学んでないことが良く分かりますね。いつまで経っても同じ失敗を繰り 返してきているのですから進歩のないことおびただしい。こんなことだから、未だに戦争を無くすこともできないの かもしれません。
それにしても、こんな良い方法があるのなら日本でも是 非考えてもらいたいものです。やってることはまるで逆で、それどころかその所為で日本の素晴らしい雇用体系は崩 壊してしまい、それを補うのに移民を増やそうなんてかんがえているのですから、もう救いようがないとしか言えま せん。
ここでも 第 45話の「見えてきた日本の再生方法」などで 何度か書いているように、中国・韓国から撤退して日本で工場を建て、雇用を確保する企業には税金の免除や補助金 を出すくらいの方策は取れないものでしょうか。