アメリカと台湾の大統領選挙に新たな有力候補が立候補したようです。アメリカはケネディ家から、台湾はあの鴻海の郭台銘などが立候補を狙っているようです。
宮崎さんが詳しく取り上げてくれています。どちらも政治の世界は色んな思惑があるようです。Chinaの指令もあるのじゃないでしょうか。
「宮崎正弘の国際情勢解題」より 令和五年(2023) 4月9日(日曜日) 通巻第7700号
ロバート・ケネディ二世も24年大統領選に立候補を表明
コロナワクチンは効かないとファウチ攻撃の急先鋒だが泡沫候補
いくら名門とはいえ、泡沫である。徳川宗家嫡流の徳川家広が地元の静岡県知事にでても当選できなかった。
父親はJFKの弟で司法長官だったロバート・ケネディ。やはり暗殺されたが、二世は暗殺犯サーハン・サーハンの釈放に賛成した。クラシカルな左翼リベルでコロナワクチンは陰謀と言って憚らない人物である。
正式な出馬宣言は4月19日に地元のマサチューセッツ州ボストンで行われる。同地はリベラルのメッカ、極左社会主義のリズ・ウォーレンの選挙区で、共和党が逆立ちしても勝ち目のない選挙区だ。
ならば民主党内で動揺があるかといえば、まったくの泡沫扱いで、このままでいくとバイデンが再び民主党の候補に選ばれそうな仕儀となるが、近日中にカリフォルニア州知事あたりが出ると言い出すだろう。
ひょんな人物の出馬表明で政局の大混乱はむしろ台湾である。台北元市長の何文哲が24年総統選に挑むと正式に表明した。そのうえで8日からアメリカ旅行 に旅立った。台湾の第三党の立場をアメリカの有力者等と面会し理解して貰うというわけだ。かれは独立にも統一に反対し現状維持を説く。音楽会などの選挙ス タイルが受けて若者の人気が高い。
何文哲が出馬すると、間違いなく民進党の票を食い荒らすだろう。だから、国民党に漁夫の利が転がり込むことは明らか、むしろアメリカの有力議員が彼を説得し民進党に協力するよう諫言する政治家がいてほしいものだ。
「宮崎正弘の国際情勢解題」より 令和五年(2023)4月11日(火曜日) 通巻第7702号 <前日発行>
鴻海精密工業が高雄にふたつの大工場建設
郭台銘、2024台湾総統選立候補声明直後に派手な式典
高雄市長(鎮其邁)、副市長列席の下、鴻海精密工業(フォックスコム)からは系列「鴻海科技集団」会長の劉楊偉がひな壇に立って、高雄にふたつの大工場を建設する壮麗な着工式が行われた。
日本円換算で1000億円を投じ、EVならびに電池工場を建設、およそ2000名の雇用を見込む。中国大陸での新工場はアメリカの圧力を前にして鴻海精密工業としては、台湾に建てた方が得策と判断したのだろう。
大工業都市となった高雄市は新設の工業団地がある。そのうちの一つ、和発産業団地ではEV電池を生産し、橋闘科学園ではEV自動車仕様のバスを年間500台製造する。2025年に生産開始を見込むとした。
台湾メディアはこうした前向きの投資プロジェクトを大きく報じているが、主役はなんと入っても鴻海CEO郭台銘である。郭は正式に2024年台湾総統選への立候補を表明したからである。
かれの両親は山西省出身だから、外省人二世である。英語名はテリー・ゴウ(Terry Gou)。シャープ買収で日本でも名を馳せ、『フォーブス』長者番付で台湾一の富豪となった。
1974年「鴻海プラスチック企業有限公司」を設立、当時台湾の産業を支えたプラスチック製品の製造・加工を始め、創業時は白黒テレビのつまみを作る街工場だった。
「鴻海」の由来は「鴻飛千里、海納百川」(鴻(おおとり)は千里を飛び、海はすべての川を納める)。初心からスケールは大きかったのだ。
以後、躍進を続けた。85年には米国へ進出、88年には中国に富士康(フォックスコン)を立ち上げて100万人を雇用した。映画のモデルにもなった。
▲鴻海高雄のCEOには日本人が就く
2023年2月1日、日本電産CEOだった関潤氏が鴻海EVのCEOとして赴任と電撃的に発表された。関は日産のナンバー3のCOO(最高執行責任者)として、カルロス・ゴーンが食い逃げた後の日産立て直しに尽力していた。
或る日突然、永守重信に説得され日本電産に電撃移籍した経緯がある。
しかし業績不振を理由に22年九月に日本電産を突如解任され、永守重信会長とは袂を分かっていた。
鴻海精密工業は、日本電産の売り上げの13倍もある。
嘗て『台湾の松下幸之助』と言われたのは台湾プラスチックの王永慶で小さな材木商の丁稚小僧から世界的企業に育てた(筆者は三十年ほど前に王とインタビューのため台北の台湾プラスチック本社ビルを訪ねたことがある。王が伝法な日本語を喋るのには驚いた)。
郭台銘もおなじく立志伝中の人物だが、放言癖とぎらぎらした野心はトランプとそっくりだという人もいる。そういえば孫正義、馬雲と並んでトランプが出席したSBGの鍬入れ式でも郭台銘が並んだ。
王永慶が不在となった後、台湾財界を率いるのはTSMC(台湾積体電路製造股fen
限公司)の創設者、張忠謀と、この郭台銘である。知名度は世界的にも抜群。
この国民的人気によって国民党予備選で党首席の朱立倫と新北市市長の候友宜を飛び越える可能性はなきにしもあらず。政治的閉塞感をうち破る勢いに台湾の庶民が期待するからだろう。
むろん、与党・民進党関係者は郭台銘が北京寄りの政治姿勢であることを警戒している。また国民党は党内秩序が乱されることを懸念し、郭台銘の電撃参入には迷惑顔だ。
ましてや次期総統選挙前哨戦の段階で、第三党「台湾民衆党」の何文哲(元台北市長)も正式に立候補を声明している。混線となると、『台湾のトランプ』が 誕生する可能性はゼロとは言えなくなった。現時点では国民党予備選に勝ったわけでもないから泡沫でしかないけれども、高杉晋作が言ったように「時の勢いに は勝てない」のである。
4月9日に行われた日本の地方統一選挙が最適の見本、奈良県知事が格好の材料を提供してくれる。自民分裂で票が割れ、場違いな候補に勝利をさらわれた。 二位と三位の票を足すと当選者より多いのである。したがって台湾総統選挙、何文哲が出馬すれば国民党候補が漁夫の利を得ることは明らかである。
どちらも習皇帝の指示が飛んでいるのでしょうか。何とも嫌な奴です。アメリカも台湾も国民が正しい選択をしてくれることを期待したいものです。
とは言え、日本の今回の自治体の選挙を見ていると選挙の恐ろしさを思わざるを得ません。
人類に選挙は合わないのかもしれません。江戸時代のような大名による世襲制もありかも。