現代の虚無僧一路の日記

現代の世を虚無僧で生きる一路の日記。歴史、社会、時事問題を考える

南木曽 桃介橋で野宿

2008-05-06 21:40:00 | 虚無僧日記
南木曽(なぎそ)に「桃介橋」という吊橋がある。
福沢諭吉の娘婿であり、日本最初の女優
川上貞奴のパトロンであった福沢桃介が築
いた橋だ。NHK「春の波濤」として連続
ドラマにもなった。桃介は木曽川水系に
ダムを築き、発電所を建設し、“電力王”
と呼ばれた。中部電力や大同特殊鋼他、
いくつかの会社の創業者である。

この桃介橋の近くに、貞奴と桃介の邸宅が、
今も残されている。その横に広い公園が
あり、東屋や照明、公衆電話、水洗トイレ
など完備しているので、野宿するのには
格好の場所だ。ここに来るのは4回目。
かつて知ったる場所なのだ。

夜は長い。尺八の練習にはもってこいの
場所。『紫鈴法』の暗譜と、NHK放送の
ため『船の夢』を練習した。家では、とても
これだけの練習はできない。虚無僧の旅の
目的は、夜中の練習ができることにもある。

5月5日 雨 南木曽へ 

2008-05-06 21:21:58 | 虚無僧日記
5月5日早朝、2,000円だけ持って、虚無僧姿
で家を出る。小雨。中央線で高蔵寺、多治見、
中津川、坂下と、各駅で降りては、天気の様子
をみたが、雨やまず。とうとう最終で南木曽
(なぎそ)へ。晴れ男なのに、今日は一日雨。
人生、晴ればかりじゃない。曇りも雨もある。

終列車が行ってしまった南木曽の駅に、女性
が1人残っている。聞けば「大阪から来て、
松本まで行く。ここで、明日の始発を待つ」
と云う。いわくありげな1人旅。バックもカ
バンも持ってない。私も所持金200円しかない
ので、「金を貸してくれ」と言われたら困る。
夜は結構冷える。私の野宿用のフリースを貸
してあげ、自分は対岸の公園で野宿することに
した。

翌朝8時に駅に行くと、貸したフリースが
きちんとたたまれ、ベンチの片隅に。そして
メモ書きと缶コーヒーが添えられてあった。
「御親切にありがとうございました。寒い夜も
良い思い出となりました」と綺麗な文字。
「旅は道ずれ、世は情け」ホンワカホワーン。