現代の虚無僧一路の日記

現代の世を虚無僧で生きる一路の日記。歴史、社会、時事問題を考える

史上初の「成文法」

2010-07-30 20:57:53 | 政治家
「鄭」の宰相だった「子産」は、紀元前536年、中国史上初めて
「成文法」を制定した。

その法律の内容は伝わっていないが、「成文法」を作ったことに
関して各国から批判が相次いだそうな。

儒教の観点から言えば、「統治者の徳によって民を治めるべき
なのに、法を持って民を治めようとすれば、民は為政者に親しみを
感じなくなり、生業をまじめにやらなくなってしまうだろう」とか。

老荘的考え方では、「法をもって民を治めようとすれば、民は
その法に従うのではなく、法の網目をかいくぐって 自分の利益に
なるように図るだろう」という批判があった。

また当時は、「法」は為政者だけが知るもので、「法」を下の者が
知るのは、身分秩序を乱す元となると考えられていた。


なるほど「朕が国家(法)なり」で、ケース・バイ・ケース、国王の
恣意的判断で刑が執行されていた時代に、罰則のルールと刑の基準
を設けることは、革新的であったようだ。

時あたかも、昨日のニュースで、千葉法相が死刑執行を命じたことが
問題視されている。刑法があって、しかるべき裁判手続きを踏んで、
「死刑」が確定しても、最終的には法務大臣の裁量に委ねられる。
古代中国春秋時代の2,500年前と変わらぬのォ。なんか変だがや。


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宮城谷昌光 『晏子』・『子産』

2010-07-30 20:33:04 | 政治家
高村氏が、今度は宮城谷昌光の『子産』を持ってきてくれた。
『晏子』同様中国春秋時代の名宰相の話だ。なかなか難しく、
読み応えがある。

『晏子』は、斉の名将「晏弱」とその子で、司馬遷も尊敬した
という「晏嬰」を描く。

『鳳凰の冠』は、晋の公室の流れを汲む羊舌氏の「叔向」が主人公。

『子産』は、「鄭」に仕えた「子産」が主人公。

晏子、叔向、子産は、ともに、紀元前6世紀中頃、春秋時代の人。

「鄭」という国は、春秋時代の初めごろは強国であったが、
子産が生まれた頃には弱小国となっており、北の「晋」、南の
「楚」の双方から 度々 侵攻を受けていた。そして、晋が攻めて
くれば晋に服従し、楚に攻められれば楚につくと、集合離反を
繰り返し、人心もすさんでいた。

この状況は、三河、信州の豪族が武田に付いたり離れたりして
いた状況と似ている。

【名言語録】
  
 「勝つ者には偶然があり、負ける者には必然がある」

 「あなたは優しい人であるから、必ず政治に対しては、
  厳しい態度で臨んでもらいたい。そもそも火というものは、
  熱く、厳しいものだから、実際に焼死する人は少ない。
  反対に水というものは、冷たく、優しいものだから、  
  水死する人が後を絶たない。これは人々が、火を恐れて、
  水を侮っているからである。だから、あなたは厳しい態度で
  臨んで、国民をあなたの優しさに溺れさせないようにして
  もらいたい」

優しさで人に接して、侮られないようにするには、余程の“器量”が
なければならない。その“器量”が無いなら、厳しさをもって治世しな
ければならない、と国王に説いたもの。


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歴史小説家 宮城谷昌光

2010-07-30 19:49:27 | 虚無僧日記
宮城谷昌光の名を知ったのは、中日新聞に『新・三河物語』を
連載された時。『三河物語』を書き遺した大久保彦左衛門の目
から徳川家康とその家臣団の興隆を詳細に描いたもの。

野田城主・菅沼定盈とその一族を描いた『風は山河より』も
そうだが、戦国期の東三河の動向を実に詳細に描写している。

私の祖先も三河武士だったことから、先祖の名が出てこないか、
興味津々読んだが、残念出てはこなかった。しかし、その場面
場面に 吾が先祖も居たのかと思うと、熱い思いが込み上げて
くる。


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「なぜ、これほどまでに」と思っていたら、宮城谷昌光氏は、
愛知県蒲郡の出身だった。蒲郡には「牧原」姓が 300軒もある。
私も、先祖のことを書き残したいという思いが、今ふつふつと
湧き上がってきた。


ホタル ノ ヒカリ

2010-07-30 11:37:02 | テレビ・映画・芸能人
偶々歌の「蛍の光」について書いたら、世間では今、
テレビ放映中の「ホタルノヒカリ」というドラマが人気
らしい。

主人公の名前が「雨宮蛍」。なんと、先日見た「おっぱい
バレー」の「綾瀬はるか」。彼女は今 超人気らしい。

インテリア事業部に勤める27歳OLで、会社では「ソツの
ないOL」を演じているが、家では、ジャージにちょんまげ
頭でゴロゴロするのが好きな「干物女」とかで、今の若い
女性の共感を集めているそうな。

「ホタル族」と言えば、マンションのベランダ(物干し場)に出て、
煙草をくゆらすお父さん族。このお父さんたちも「干物男」だ。

「干される」というと「仲間はずれ」、「無視される」だが、
「干物女」とは、どういう意味合いでの 新語かしらん。
もう我輩は 着いて行かれん。

先日、Mさんが、「私の妹は、母親から『豆腐を買って
きて』と1万円札を渡されたら、自分の欲しい物も買って、
1万円全部使ってきてしまった。母親もあきれてた」という
話を聞いたばかり。これぞ「ホタル」の金銭感覚。

私の次女も家ではゴロゴロ。「干物女」かも。今年の
流行語になるか。


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グラバー邸と高取邸

2010-07-30 10:54:36 | 虚無僧日記
長崎の観光名所「グラバー邸」。もう50年も前、中学の
修学旅行で行った。グラバーは、歌劇『蝶々夫人』の
ピンカートンのモデルとも言われる。そう聞くと、不快
であった。ホントは全然関係無いそうな。

そのグラバーについては何も知らなかったが、NHKの
『龍馬伝』で登場してきた。

スコットランド人。「蛍の光」の原曲「Old long since」を
歌っていたかも。

1859年、上海の「ジャーディン・マセソン商会」に入社。
その後、開港まもない長崎に来、マセソン商会の代理店として
「グラバー商会」を設立。
当初は生糸や茶の輸出を中心として扱ったが、薩摩・長州・
土佐ら討幕派を支援し、武器や弾薬を販売。
龍馬の亀山社中とも取引があった。龍馬は、薩摩名義で
グラバーから武器・弾薬を買い入れ、長州に渡すことで、
薩長の和睦を成立させたらしい。そんな裏があったようだ。

グラバーは、薩摩や長州五傑のイギリス留学の手引きも
している。

1868年(明治元年)佐賀県の高島炭鉱開発に着手。

こうしてグラバーは莫大な利益を得たかと思いきや、
明治維新後、武器が売れなくなったことや、廃藩置県で
諸藩からの資金回収が滞ったことなどで、破産。

しかし、高島炭鉱の実質的経営者として日本に留り、
1885年(明治18年)以後は三菱財閥の相談役となった。
麒麟麦酒の基礎も築いた人だそうな。


昨年、佐賀県唐津に行った時、「高取邸」を見学した。
高島炭鉱の技師で、唐津炭田、杵島炭坑の経営で成功
した高取伊好の邸宅。屋敷内に能舞台があり、東京から
能役者を招いて、能の会を開いたりしたという。
「炭坑王」の財力には脱帽。


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グラバーと龍馬

2010-07-30 10:11:13 | テレビ・映画・芸能人
NHKの『龍馬伝』は、幕末の政争に、いかに外国人が
からんでいたかを気づかせてくれた。明治維新は、徳川幕府
と尊王攘夷派の、日本人同士の争いと見られがちだが、
『龍馬伝』の視点は、「日本が諸外国によって侵略され、
滅びる危機にあった」という点、斬新だ。

日本の鎖国の扉を開けたのは、アメリカのペリー艦隊だが、
ロシアもそれ以前から日本沿岸に押し寄せていた。

そのアメリカが「南北戦争」で日本から遠ざかった隙を衝いて
英・仏が参入してきた。イギリスは薩長に、フランスは徳川
幕府を後押しした。

グラバーの後ろ盾となったのが、英国公使館書記官のアーネスト
・サトウ。そのサトウは、同時に、会津、長岡、庄内藩には、
ロシアの武器商人スネルを紹介している。

こうして、イギリスは徳川方と薩長との内戦を目論だのだ。
このままでは「日本は内戦になり、外国の思う壺。日本が
諸外国に侵略される」といち早く気づいたのが坂本龍馬だった。
そして龍馬は公武合体による議会制度を提唱する。

内戦が起きないと一番困るのは、グラバーやスネル等“死の商人”。
そして、大量の武器を買い込んだ薩長だ。それで「坂本龍馬は、
西郷隆盛やグラバーによって暗殺された」という説もある。
NHK『龍馬伝』では、龍馬暗殺をどのように理由付けするの
だろうか。まっこと楽しみでごわす。

さて、江戸城無血開城で「グラバー商会」は倒産してしまうのだ。

NHK『坂の上の雲』で、アメリカ人のインディアン抹殺政策の話が
出ていた。アメリカ人は、先住民であるイロクワ族に武器を与え、
インディアン同士を戦わせ、自滅させた。180万人いた先住民は
20万人まで減ったという。

アラビアのロレンスも、イギリスの政策の元、アラブ人を駆り立てて
オスマン・トルコを攻めた。それと同じ状況が、幕末の日本にあった
のだ。

坂本龍馬の存在価値はそれほど高く無かったのだが、「諸外国から
の侵略を阻止した人物」となると、その評価は歴史を覆す。NHK
大河ドラマ『龍馬伝』が、久々に盛り上がっているのは、そうした
新しい視点だろう。


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