この作品を読み進めていくうちに、すごく違和感を感じた。
クリスティらしくないのだ。ポアロは途中から出てくるが脇役扱いなので、そのせいかな?とも思ったが、どうも違う。訳者のせいではないだろうか。
クリスティのレトロ感、セピア色の感じ、クラシックの雰囲気が全然無い。1963年ごろの作品らしいから、しかたないかも、と思う人もいるかもしれないが、そんなことはない!!それ以降の作品でも、クリスティらしい小説はたくさんある。
「複雑そうに見せかける必要があるとすると単純な犯罪に相違ない」というポアロの言葉どおり、小道具を取り払うと、本当に単純な犯罪。私は気がつかなかったが、いろんな所にヒントがちりばめられてあって、注意して読めば、矛盾点から犯人がわかるようになっている。
この小説のめずらしい所はポアロの口をかりて、クリスティが推理小説論を展開する所。
「アルセーヌ・ルパンの冒険」「黄色い部屋の謎」「シャーロック・ホームズの冒険」コナン・ドイル、ディクスン・カー、チェスタートン、etcこの他いろんな名前が出てきたが、私の知らない名前だったから省く。
ものたりないね。もっともっとクリスティの推理小説論を読みたかったよ。