ケイの読書日記

個人が書く書評

恩田陸「光の帝国ー常野物語」を読んで

2005-09-16 15:27:36 | Weblog
大好きな本・読んだ本

 この小説を読んで私は、ジャンプに連載中の「ハンターハンター」、萩尾望都の大昔のマンガ「ポーの一族」それから「ハリーポッター」を思い出しました。

 不思議な力を持つ一族、というのは昔から繰り返しマンガや小説の題材になってきました。ただ、その不思議な能力が、あまりにも凄すぎると、かえって物語としては、つまらなくなる気がします。
 また「常野物語」の中に出てくる『つむじ足』とか『遠耳』は、あまりにも能力がストレートすぎなため少し興ざめ。

 最初から突出した能力があるというより「ハンターハンター」の念能力者のように、もともと優れた素地はあったが、修行して優れた能力を取得するという方がおもしろい。特にセンリツのように、聴力のべらぼうに優れた能力者というのは、現実にもいそうだから、リアリティがあって、よけいに心惹かれます。

 最近の「ハンターハンター」に出てくる念能力者は、あまりにも複雑で破壊力がありすぎるのでかえってつまらない。また、1人の人間が複数の能力を持っているのも、いいようで良くない気がします。

 それにしても、この「常野一族」のおとなしいこと。不思議な能力を持ちながら、穏やかで知的で権力への志向を持たず、普通の人々の中に埋もれてひっそり暮らす常野一族。アクションシーンが無いのも物足りない。
 常野一族の中にも異端児があらわれ、世界征服の野望を持ってくれると、がぜん少年マンガっぽくなるのだが。
コメント (3)
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