ケイの読書日記

個人が書く書評

綾辻行人「霧越邸殺人事件」

2007-08-06 14:12:05 | Weblog
 雪で外界と閉ざされた謎の洋館に道に迷った旅人達が迷い込む。やがて勃発する殺人事件。その現場には、なぜか北原白秋の詩集が…。

 あまりにも新本格派ミステリのお約束どおりの展開なので、最初の方はちょっと食傷気味でなかなか読み進められなかったのだが、後半は面白くなってきた。
 だけど”見立て殺人”としては成功しているとはいえない。

 だいたい”見立て殺人”として成功しているのは、クリスティの「そして誰もいなくなった」とヴァン・ダインの「僧正殺人事件」ぐらいだと思う。


 いくらハードケース入りとはいえ、詩集で人を殴り倒すのは難しいんじゃないだろうか? 
 それなら、手近にある重い灰皿で殴り倒しその場に詩集を置く。
 いやいや、見立てに使う小道具を調達したりする手間や危険性を考えれば、そこまで”見立て殺人”にこだわる犯人が少し滑稽な気がする。


 (お話には関係ないが)この霧越邸、お城のような豪邸だが使用人が少なすぎ。こんな広大な屋敷を4人の使用人で維持するのはとうてい無理!
 特にここは湖に張り出した造りで、霧が多く、湿度が高い。おまけに長野県の豪雪地帯、来客はほとんどいない。
 部屋というのは閉め切っているとどんどん朽ちてくる。すぐ”お化け屋敷”になってしまうよ。

 
コメント (2)
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