ケイの読書日記

個人が書く書評

ポール・アルテ「狂人の部屋」

2007-09-21 14:45:39 | Weblog
 ハットン荘のその部屋には、忌まわしい過去があった。100年ほど前、部屋へ引きこもっていた文学青年が怪死したのだ。死因は不明。奇怪な事に、部屋のじゅうたんは水でぐっしょり濡れていた。

 以来、開かずの間になっていた部屋を現在の当主ハリスが開いた途端、怪事件が屋敷に襲いかかった。
 ハリスが不可解な状況の下で部屋の窓から墜落死し、その直後に部屋の中を見た彼の妻が卒倒した。しかも、じゅうたんは100年前と同じように濡れていた。
 はたして部屋で何が起きたのか?


 やっぱりポール・アルテはいいなあ。派手さは少ないが、色んな謎をきちんと説明できている。(彼の尊敬するカーは、道具立てはすごく派手で怪奇ムード満点。さあ、どんなすごいトリックが隠されているんだろうと期待して読むと、ガッカリする事が少なくない)

 そうです!暖炉の前のじゅうたんが濡れている理由は1つじゃなくてもいいんだ。Aの場合はAの理由が、Bの場合はBの理由があって当然なんだ。

 また、死者が甦るなんて本当に簡単なトリックじゃないか?何でこんな事に気が付かないんだろう、と自分を恥じる。


 小説の舞台はイギリスだが、作者のポール・アルテはフランス人なので、不倫がらみのロマンスも推理の邪魔にならない程度に、あちこちにちりばめてあり出来がいい。
コメント (4)
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