「黒死館殺人事件」「ドグラ・マグラ」と並んで三大奇書の一つという事なので心して読んだが…意外にも文章は読みやすい。
そりゃそうだ。前の2作品は戦前の作品で、カタカナ・旧仮名遣い・旧漢字が多用してあり、この「虚無への供物」は1964年の発表だもの。
ただ内容は…一言で言って「混沌(カオス)」
作者の興味ある色々な事を、この1作品にぎゅんぎゅんに詰め込んだという感じ。
その興味というのが多岐に渡っており、薔薇、歌舞伎、ポゥ、不動明王、ゲイバー、鏡の国のアリス、放火、シャンソン、経文、ワンダーランド、etc
これらが、全く系統だっておらず1つの作品内にごちゃ混ぜに放り込んである。
だいたいワトソン役の亜利夫(ありお)も、どうしてこんな変な名前なんだろうと思っていたら、どうも『不思議の国のアリス』のアリスを男の名前にして『亜利夫』としたらしい。ふざけている。
密室殺人が4回連続おこるのだが(4回目は空想)期待を持たせ、どんなすごいトリックなんだろうと、伏線らしきものをたどって自分なりに考える。
小説の最後では、一応解決するのだが、あまりにもちゃちなトリックでガッカリ。
辻褄のあわない部分がどっさり出てくるが、こういう作品で論理的なトリックや動機を期待してはいけないのかもしれない。
殺人が起こる氷沼家の見取り図も、どうして2階だけで1階は載ってないの?
なにか秘められた意味があるかも、と真剣に考えて損した。
綾辻行人の「フェラーリは見ていた」という作品中に、この「虚無への供物」を読んで感銘を受け、こんな作品を書く人と一緒に仕事をしたいと言って編集者になった人が出てくる。
好きな人には、たまらない魅力を持った作品なんだろう。
スケールをうんと小さくした「黒死館殺人事件」という所でしょうか。
PS.主要登場人物の藤木田老は、なかなかチャーミングなご老人だ。外国暮らしが長いという話だが、自分のことをミィ、相手のことをユウ、なんて呼んでいる。でも他の英単語は会話に出てこない。
「おそ末くん」のイヤミを思い出しちゃったよ。古い話でごめんなさい。
そりゃそうだ。前の2作品は戦前の作品で、カタカナ・旧仮名遣い・旧漢字が多用してあり、この「虚無への供物」は1964年の発表だもの。
ただ内容は…一言で言って「混沌(カオス)」
作者の興味ある色々な事を、この1作品にぎゅんぎゅんに詰め込んだという感じ。
その興味というのが多岐に渡っており、薔薇、歌舞伎、ポゥ、不動明王、ゲイバー、鏡の国のアリス、放火、シャンソン、経文、ワンダーランド、etc
これらが、全く系統だっておらず1つの作品内にごちゃ混ぜに放り込んである。
だいたいワトソン役の亜利夫(ありお)も、どうしてこんな変な名前なんだろうと思っていたら、どうも『不思議の国のアリス』のアリスを男の名前にして『亜利夫』としたらしい。ふざけている。
密室殺人が4回連続おこるのだが(4回目は空想)期待を持たせ、どんなすごいトリックなんだろうと、伏線らしきものをたどって自分なりに考える。
小説の最後では、一応解決するのだが、あまりにもちゃちなトリックでガッカリ。
辻褄のあわない部分がどっさり出てくるが、こういう作品で論理的なトリックや動機を期待してはいけないのかもしれない。
殺人が起こる氷沼家の見取り図も、どうして2階だけで1階は載ってないの?
なにか秘められた意味があるかも、と真剣に考えて損した。
綾辻行人の「フェラーリは見ていた」という作品中に、この「虚無への供物」を読んで感銘を受け、こんな作品を書く人と一緒に仕事をしたいと言って編集者になった人が出てくる。
好きな人には、たまらない魅力を持った作品なんだろう。
スケールをうんと小さくした「黒死館殺人事件」という所でしょうか。
PS.主要登場人物の藤木田老は、なかなかチャーミングなご老人だ。外国暮らしが長いという話だが、自分のことをミィ、相手のことをユウ、なんて呼んでいる。でも他の英単語は会話に出てこない。
「おそ末くん」のイヤミを思い出しちゃったよ。古い話でごめんなさい。