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ケイの読書日記

個人が書く書評

乙一「ZOO」

2007-11-25 11:14:32 | Weblog
 私にとっては初乙一。すごく新鮮で刺激的。やっぱり売れっ子は違うなぁ。ライトノベル系のミステリというかホラーというか。
 でも、乾いたおかしさもあり、ブラックユーモア系?

 名前もなんで”乙一”なんだろう。変わってるなぁ。本名が乙羽一郎さんとか…ね。


 表題作の「ZOO」よりも「カザリとヨーコ」「Closet」「神の言葉」などが良かった。特に「カザリとヨーコ」は、萩尾望都の短篇マンガ「イグアナの娘」を思い出させる。
 このマンガはずっと以前テレビドラマになった事があるので見た人もいるのではないか?

 母親は、最初に生まれた娘がどうしてもイグアナに見えてしまい可愛がる事が出来ない。次に生まれてきた女の子は、ちゃんと人間の赤ちゃんに見えるのに。

 この乙一の「カザリとヨーコ」は一卵性双生児の話。DNA的には全く同一人物のはずだが、一方は母親にちやほやされ、片方は母親から虐待される。だから、頬は痩せこけ服はボロボロで、ぱっと見ただけでは誰も双子だと気がつかない。

 こういった母親の心理って分かるような気がする。普遍的なもの。特に母親自身とても困難な状況下にあると、一方には自分の夢を、片方には自分のやりきれない鬱憤を投げつける。

 乙一の作品って、決してハッピイエンドではないけど、わずかな光明が差している。「そうだ、頑張れ!! 前を見て走れ!! 何をやっても生きていけるさ」と大声で呼びかけたくなる。
コメント (4)
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