ケイの読書日記

個人が書く書評

二階堂黎人「悪魔のラビリンス」

2007-11-15 14:18:06 | Weblog
 話には聞いていたが、まるっきり”子供向けの江戸川乱歩作品”って感じですね。昭和40年代よりもっと古そうな雰囲気。
 怪人20面相やら小林少年がぴょこぴょこ出てきそう。

 ああ、私、乱歩の少年探偵団シリーズは嫌いだったんだ、と途中で読むのを止めようかと思ったけど、そのうち面白くなるかもしれないと我慢しつつ読み続けたら、正解!! 結構イケます。

 怪奇趣味は強いけど、それだけではなくトリックがしっかりしています。特に第1部「寝台特急あさかぜの神秘」。まるで引田天功のイリュージョンを見ているよう。だから、マジックに詳しい人にはこのトリックは解けるかもしれない。


 鍵がかかり走っている寝台特急の個室(その上、ガードマンが廊下で見張っている)から、男が消え、代わりに別の女の死体が発見された。しかも、その女とは、特急が東京駅を離れる際にプラットホームで見送っていた女なのだ!

 こんな不思議な事に解決なんてあるんだろうか、と興奮するが、二階堂蘭子はゴージャスな縦ロールの巻毛を指に絡ませながらスラスラ謎を解いていく。
 それも整然と。

 通路が狭い寝台車だから十分可能なトリック。ちょっと感心してしまった。

 第2部も、男色家が出てきたり若い美青年の全裸死体が氷柱中にとじこめられたり、実に乱歩チックです。
コメント
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