ケイの読書日記

個人が書く書評

倉知淳「星降り山荘の殺人」

2008-02-08 10:29:26 | Weblog
 やられた。引っかかった。ああ、しっかりダマされた。
 確かに作者は、読者をミスリードしようと一生懸命だけど、だからといってアンフェアな事はやっていない。読み返せばちゃんと書いてある。勝手に勘違いしたのは自分だから。
 ああ、ばかバカ馬鹿。


 雪に閉ざされた山荘。交通が遮断され、電気も電話も通じていない。
 集まったのは、スターウォッチャー・その付き人・UFO研究家・不動産会社社長・その部下・流行作家・その秘書・社長についてきた女子大生2人。
 そこに突如、発生する殺人事件。

 殺害現場のコテージの周りには被害者の足跡だけ、といった不可能犯罪・密室物ではなく、犯人の足跡がしっかり残っており、犯行時刻が夜中という事もあり、アリバイがある人もいない。
 つまり、誰もが犯行をなしえるという地味な展開だが、荒唐無稽でなく好ましい。

 ただ、読み終えた後、感心はするが「ああ、面白かったなぁ」とあまり思えないのは、登場人物のキャラが魅力的では無いからだろう。
 登場人物の中で、キャラが一番立っているのはスターウォッチャー星園だが、その人とて次回作に出てきてほしいとは思わないなぁ。


 作者のデビュー2作目の「過ぎ行く風はみどり色」では、法月綸太郎が作者の事を「天然カー」と呼んだそうだから、次は是非これを読もう。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする