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ケイの読書日記

個人が書く書評

有栖川有栖「孤島パズル」

2010-05-19 10:29:57 | Weblog
 この江神さんが名探偵のシリーズは、青春小説の趣もある。
 よかったね、アリス。前作『月光ゲーム』でヘンな女の子に引っ掛からなくて。
 マリアみたいなかわいい女の子が推理研に入部してくれて、おまけにアリスといいカンジで、私も読者として嬉しいです。
 でも、推理研って1年生が1人もいないの? もっとしっかり新入生を勧誘しなくちゃ、つぶれちゃうぞ!

 さて、本題です。
 マリアの伯父さんの別荘がある南海の孤島にやって来た3人。宝探しが目的だったが、楽しむ間もなく起こった殺人事件に巻き込まれてしまう。
 バカンスに集う男女。3年前の溺死事件。連絡船の再来は5日後。典型的なクローズド・サークルの中で、江神部長の推理が冴える!!

 有栖川有栖らしく、整った論理的な作品。

ここにパズルがある。どうかあなたの手でこの小宇宙に秩序をもたらしていただきたい

 なんて素敵な<読者への挑戦状> 動機から考えれば「この人」しかいないんだが、証拠品からそれを立証していく。自転車のタイヤ跡が残る1枚の紙切れから。
 さすが、有栖川有栖。

 ただ論理的にはきちんとしているが、情緒的に「そんなのアリ?」と思える部分も。
 2人の人間が殺された翌日、犯人がこの島にいることが分かりきっているのに、1人住まいの自分のロッジへ平気で帰る人物がいるが、いくらなんでも不自然じゃない?
 連続殺人が起こっているのに、パニックにならず、皆さん落ち着いている。単独行動を好む人が多いのも不思議。
 私だったら、絶対一人にはなりたくないと思う。
コメント (2)
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