ケイの読書日記

個人が書く書評

山村正夫「湯殿山麓呪い村」

2010-10-13 11:19:35 | Weblog
 ミニ横溝正史作品というカンジですね。本家に比べると禍々しさ、おどろおどろしさが圧倒的にたりないですが、昭和54年という時代設定なので仕方ないね。

 否定的なことを書いたが、きちんとまとまっていて面白い伝奇探偵小説。オススメです。


 180年前、東北出羽三霊山の近くで人を殺して追われていた男が、即身仏(ミイラ)になる事を条件に寺に匿われる。
 男は約束を守り、厳しい断食の修行に励んでいたが、村の娘と恋仲になり駆け落ちしようとして、寺の僧たちに捕まる。
 男は教義にそむいた背教者として謀殺され、即身仏に仕立て上げられる。
 しかし、その怨念が現代によみがえり…。

 その他、江戸時代、東北の大飢饉のすざまじさなども書かれている。人肉喰い、幼児喰い、本当にあったんだろうなぁ。
 ただ、飢餓が何日も続き、胃がぺったんこの状態では、人肉のようなタンパク質は胃腸が受け付けないんじゃないだろうか?

 何日も何日も全く食べていないと、頭がボーとして、苦もなく衰弱死するような気がするが、その中でも生に執着して人肉を喰らっても生き残る人もいるんだろうね。


 小説の最初の方で、名探偵としてホームズの次にドルリー・レーンが出てきたときあれっと思った。普通だったらポアロかマープルかエラリー・クイーンでしょう?
 ここら辺りが、作者がとっても親切なところです。
コメント (3)
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