蒼井雄の名前は知っていたが、いままで読む機会はなし。先回の「三の字旅行会」と同じ本に収められていたので、喜んで読みました。
昭和11年2月作品。
うーん、長編でかなりの力作です。トラベルミステリの先駆け的作品。
私はトラベルミステリはあまり好きではないのだが、それでも、大阪、紀伊半島白浜温泉、熊野街道、木曽・御岳と、犯人と思われる男たちを追って、警察や私立探偵のドーベルマンのようなしつこさは、読みごたえあります。
なんといっても昭和11年だから、山奥の村には電話が無く電報がその代わりになっている所など、ホームズ作品を思い出します。
交通網も発達しておらず、自動車は村にたった1台。道も整備されておらず、逃げる方も追いかける方も、徒歩で山のけもの道を谷に転がり落ちる危険にさらされながら、進んでいく。
この作者は、もともと山歩きが趣味なんだろうか? 山岳地帯の描写が、すばらしく上手なのだ。それだけでも一読の価値あり。
併載されていた「霧しぶく山」は、連載時に発禁になったらしい。どこか思想的に引っ掛かったんだろうか?と別の意味で期待しながら読んだが…なんだよ、SM部分が後半にあり、それで発禁になったんだろう。
期待して損した。
昭和11年2月作品。
うーん、長編でかなりの力作です。トラベルミステリの先駆け的作品。
私はトラベルミステリはあまり好きではないのだが、それでも、大阪、紀伊半島白浜温泉、熊野街道、木曽・御岳と、犯人と思われる男たちを追って、警察や私立探偵のドーベルマンのようなしつこさは、読みごたえあります。
なんといっても昭和11年だから、山奥の村には電話が無く電報がその代わりになっている所など、ホームズ作品を思い出します。
交通網も発達しておらず、自動車は村にたった1台。道も整備されておらず、逃げる方も追いかける方も、徒歩で山のけもの道を谷に転がり落ちる危険にさらされながら、進んでいく。
この作者は、もともと山歩きが趣味なんだろうか? 山岳地帯の描写が、すばらしく上手なのだ。それだけでも一読の価値あり。
併載されていた「霧しぶく山」は、連載時に発禁になったらしい。どこか思想的に引っ掛かったんだろうか?と別の意味で期待しながら読んだが…なんだよ、SM部分が後半にあり、それで発禁になったんだろう。
期待して損した。