ケイの読書日記

個人が書く書評

東川篤哉「中途半端な密室」

2013-03-07 13:19:35 | Weblog
 東川篤哉は「謎解きはディナーのあとで」で大ブレイクした推理作家。その彼の、初期傑作5編が収められている。

 いやー、面白いです!! びっくりしました。同じユーモアミステリ系の赤川次郎よりも、こっちの方がいいんでないの?と言いたいほど。

 
 屋外のテニスコート内で、ナイフで刺された男の死体が発見される。
 コートには内側からカギがかかり、周囲には高さ4メートルほどの金網が張ってある。犯人は内側から鍵をかけ、わざわざ4メートルの金網をよじ登って逃げたの?まさか?自殺に見せかける訳でもあるまいに。
 この不可解な状況を、探偵役はキチンと無理なく解明する。

 他の4作品も、魅力的な謎に整合性のある答えが用意されていて、謎解きの楽しさを満喫できる。

 難をいえば…キャラが弱いかな? 表題作以外は、岡山市内の大学生「敏ちゃん」「ミキオ」コンビが探偵役だけど、ほのぼのしている。これは作者が岡山大学の学生だったことの影響だろう。ローカル色が強く、ほほえましい。

 それに、ホラーとかオカルトとかバイオレンスの要素が全くないので、退屈に感じる人もいるだろう。これだけのトリック考え出せるんだから、犯人の動機・心理描写・時代背景などで膨らませれば、かなりの長編になるだろうが、多額の原稿料を欲しくないのか、短編ばかり。 
 ゆるーいユーモアが、この人の持ち味なんだろうね。
コメント
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