ケイの読書日記

個人が書く書評

湊かなえ「夜行観覧車」

2013-06-17 11:27:49 | Weblog
 実は、この文庫が私にとって初・湊かなえ作品。「告白」など、すごく評判だったが、この人の作品は、面白いが後味が悪いと聞いていたので、今まで敬遠していたのだ。
 でも、読んでみて、もっと早く読めばよかったと後悔。宮部みゆきと並ぶストーリーテーラーだと思う。

 高級住宅地に住むエリート医師一家で起こった、センセーショナルな事件。
 母親が父親を殴殺し通報。つまり父親が被害者で、母親が加害者。
 仲が良さそうに見えた、実際仲が良かった夫婦に、一体何が起こったのか?
 その動機が、最後の最後に、ぼんやり浮かび上がってくる。

 部活を辞めさせて勉強させたって、成績なんか上がるワケないじゃん!

 一歩離れて子どもを見れば、すぐ分かることなのに、母親にだけは分からない。机の前に子どもを座らせ教科書を開かせれば、勉強すると思っている。

 ううう、自分にも思い当たること、ありますね。

 

 この殺人事件が起きた家族の、向かいに住む一家も、大きな問題を抱えている。

 高級住宅地の一戸建ての家に住むという願いがかなった主婦。有名私立女子中学を受験し、失敗した一人娘。この女の子が家の中で癇癪を爆発させる。週に一回ほど爆発し、この高級住宅地一帯に、わめき声が響き渡るが、本人たちは外には聞こえていないと思っている。
 いるよね。内弁慶というか、外面が良いというか、学校では大人しいのに、家の中では威張りまくる子。
 妻から「娘に意見してほしい」と頼まれているのに、あいまいな態度を取り続ける父親。父親が注意しても収まる訳ないけど。

 ああ、この小説を読んで、我が家とは関係ないわ!なんて思える人は、いないんじゃないかな? どこの家でも、多かれ少なかれ問題を抱えているよ。
コメント
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