ケイの読書日記

個人が書く書評

木々高太郎「折芦」(おりあし)

2013-06-22 12:56:15 | Weblog
 先日読んだ「死の乳母」と同じ、木々高太郎全集②に入っている長編。
 一応、木々の代表作らしいので、読んでみる。

 妻と死別した男と結婚した若い女性が、「夫が最近不気味になってきて恐ろしい。特に母親に死なれた一人娘を見る目は、憎悪に近い」という相談を東儀という男にする所からこの物語は始まる。
 妻の死の事情というのが、舅を殺して死んだという驚くべきもので、当事者2人が死んでいるので、真相がどうであったかは判らない。
 東儀がその調査を引き受けると、数日後、その若い女性の親戚の家で、殺人事件が起こった。その事件にも、東儀は関わることになって…。


 確かに推理小説なのだが、推理以外の部分が多すぎて、戸惑ってしまう。
 そういえば、木々の直木賞受賞作「人生の阿呆」も、そうだったなぁ。
 推理以外の部分も面白いが、その割合が多すぎて、どうも焦点が合わないような。推理小説を読んでいるという気がしない。
 まぁ、木々は意識して、そう書いているんだろうね。

 それに、この探偵役の東儀という男もパッとしないなぁ。
 父親が(今は引退しているようだが)銀行界の大立者で、大変な金持ち。東儀は結婚し、娘が一人ありながら、すべて親がかりで、全面的に親に依存して暮らしている。
 その彼が、奥さんを助手として探偵事務所を開くのだが、この奥さん助手が、大変なやきもち焼き。
 女性の依頼人からの電話は取り次がないし、大事な情報を外部にペラペラしゃべって、夫婦げんかになる。
 もー、なんだよ、コレは!
 コメディタッチで書いてくれれば読みやすいが、私小説風に書くもんだから、どんより暗いんだよね。
コメント
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