ケイの読書日記

個人が書く書評

高田崇史「毒草師 パンドラの鳥籠」

2013-12-19 14:46:44 | Weblog
 毒草師シリーズ第3弾。毒草と推理小説は、あまり相性よくないと文句を言いながらも、読んでしまう。

 京都・丹後半島の山奥に、地元の人たちも滅多に近寄らない深い竹林がある。そこは「魔女の鳥籠」と呼ばれる古い洋館が建っていて、その洋館の中には、300歳を超える魔女が住んでいるという。
 この館に入った人間は、彼女の餌食となり、生きて戻ることは出来ない。何年か前に連続して起こった未解決の首なし事件、その解決を依頼された御名形は、助手たちとともに、丹後半島に急ぐ。


 色んな不思議な事象が、薬物による幻覚や幻聴で解決してしまうので、あまり推理の意味がない。
 でも、ストーリーやトリックよりも、御名形のたれ流す雑学の方が楽しみになってくる。
 例えば…

 西洋で銀食器が普及したのは、銀は毒に触れると変色するという特性をもっていたから…らしい。毒殺って、東洋の暗殺手段(特に中国)というイメージがあったのだけど、西洋でも広く行われていたのだ。毒殺が。そうだよ、病死に見せかけやすいからね。

 「つつがない」という言葉の意味は、「病気や体調不良がなくて、息災である」という事だが、なぜこの意味になったかというと、当時はツツガムシというダニが多く生息していたので、それらに噛まれないで健康にすごしているから…だそうだ。

 こういった「へぇ、なるほど、そうなんだ」という話が、あちこちに書かれているので、ストーリーよりも、こっちを読む方が面白い。
コメント
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