ケイの読書日記

個人が書く書評

エドガー・アラン・ポー 富士川義之訳「赤死病の仮面」

2013-12-24 10:33:56 | Weblog
 ポーの作品は(詩を除いて)だいたい読んでいたつもりだったけど、これは読んでなかった。
 先日読んだ「江神二郎の洞察」の中で、この「赤死病の仮面」が出てきたので、絶対読まなくっちゃと図書館で探す。


 激しい痛みに襲われ、めまいがして、やがて毛穴から大量の出血があり、ついに死に至る赤死病が、プロスペロウ大公の領地を荒らしまわっていた。病人の身体、とくに顔面に真紅の斑点が現れると、彼は追放される。誰も助けの手を差し伸べず、誰にも同情されなくなって…。

 大公は、領地の人口が半分に減った時、その宮廷の騎士や貴婦人たちの中から、健康で快活な者たち1000人を選び出し、城郭風の僧院に引きこもった。そして、城壁の鉄の門のかんぬきを溶接して、決して外から人が入って来ないようにした。
 つまり、完全に赤死病をシャットアウトして、籠城することにしたのだ。
 外の世界がどうなろうと、構わないのだ。
 僧院の中には、たっぷりの食糧が貯えられていた。そのうえ、道化役者も、即興詩人も、バレエの踊り子も、音楽師もいるのだ。

 そして大公は、並外れて壮麗な仮面舞踏会を催し、1000人の客人をもてなした。
 だが、その盛大な饗宴の最中に、異様な仮装を身に着けた人物があらわれ…。


 とても短い作品だが、すごく絵画的。誰か、映像化してくれないかなぁ。
 中世のヨーロッパでは、ペストが猛威をふるっている最中など、こういったことがあったみたいです。ある村でペスト患者が発生すると、軍隊がその村から他の村に移動する道を封鎖し、その村から誰も出てこれないようにして、村内で死に絶えるのを待ち、火で焼き払う、といった事が。
 でも、ペスト菌って、ねずみが仲介するんだよね。人間の移動を止めても、ねずみの移動を止めなければ、ペストの拡散を防げないように思うけど。
 
コメント
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