ケイの読書日記

個人が書く書評

東野圭吾「ガリレオの苦悩」

2014-04-24 13:47:41 | Weblog
 ガリレオシリーズ第4弾。この中の第1章「落下る(おちる)」で、TVドラマから逆輸入された内海刑事が、初登場!
 内海刑事って、小説ではすごく優秀なんだ。いっさい無駄口叩かず、冷静沈着。そして努力家。
 TVドラマの方では、コメディアンヌっぽかったけど、これは、湯川の助手の栗林先生とのからみからそうなったのであって、栗林先生が登場しない小説では、すごくシリアス。かえって湯川の方がお茶目です。


 大学時代の恩師に「味にうるさいのが1人いるが、本当に分かって言ってるんじゃない。理屈をこねまわしているだけだ」「あいつは、野菜の切り方にも理屈をつけるやつだからなぁ」ってウザがられる。
 大学時代の友人に「ワインが足りない。あいつは、なかなかの酒豪なんだ」「高級である必要はない。蘊蓄はたれるが、じつは味音痴だ」って、さんざんな言われよう。

 そういえば、TVドラマにも、研究室で料理を作っているシーンがたくさんあった。どっかの景品でもらった汚いカップにインスタントコーヒーを入れて、客に振る舞うシーンも。
 そうそう、湯川は大学生の時、インスタントコーヒーを自分で作ってみて「やっぱり買った方が合理的だ」と気付き、止めたとか。

 かっての旧友や恩師が登場すると、湯川の昔の思い出話が出てくるから、それが楽しみ。大学以前の、高校時代、中学時代の湯川はどんな子だったんだろうね。生意気な子だっただろうな。
 でも、その旧友や恩師が事件にかかわっているから、悩むんだよね。「ガリレオの苦悩」って良いタイトルだと思うよ。


 第4章「指標す(しめす)」は、雑誌に連載されたものではなくて、書き下ろしなんだ。TVドラマでは、川口春奈が、ダウジングする女の子を演じていた。あんまり面白くないなぁと感じていたが、原作の方も出来はイマイチ。

 第5章「攪乱す(みだす)」は、原作もTVドラマも秀作。そうだよなぁ。天才物理学者って、天才でない物理学者にとっては、すごく邪魔な存在だろう。これに近い事、現実にあるだろうね。
コメント
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