ケイの読書日記

個人が書く書評

藤井信行「ヨーロッパの古城と宮殿」

2014-09-16 14:29:46 | Weblog
 新人物往来社・ビジュアル選書ということで、ヨーロッパの76の古城や宮殿の外観・内装・立地風景・城主の写真などが載っていて、素晴らしく美しい。
 ルーヴル宮殿(今は世界屈指の美術館) ヴェルサイユ宮殿(マリー・アントワネットで有名) ノイシュヴァンシュタイン城(シンデレラ城のモデル) ユッセ城(眠れる森の美女の城のモデル)などなど、超有名な城ばかり。

 でも、一番印象的なのは…なんといっても、ロンドン塔。塔と言っても、がっちりした城塞。かっては多くの貴族・王族たちが、権力争いに負け、幽閉・拷問・処刑された。

 有名なのはリチャード3世によって殺されたとされる、正当な王位継承権を持つ甥2人。
 もっと有名なのは、ヘンリー8世の2度目の妻アン・ブーリンと、5度目の妻キャサリン・ハワードが、姦通罪で斬首された話。
 ほら、1番目の妻をなんとかお払い箱にして、アンを2番目の妻にしたかったヘンリー8世だが、ローマ教皇の許しが得られなかったので、カソリックを離脱し、イギリス国教会を作って離婚したでしょ?
 アンの娘(後のエリザベス1世)も、一時期、ロンドン塔に幽閉されていたんだってね。

 このロンドン塔は、イギリスの推理小説によく出てくる。霧のロンドンと、陰気ないわくつきのロンドン塔は、絶好の組み合わせかも。



 他にも『お城豆知識』みたいなコーナーがあって、城攻め用の投石器の写真も載っていた。確かに、大砲が登場するまで投石器が一番の兵器だったろう。
 投げるのは石だけでなく、昼の戦闘で打ち取った敵兵の首を、夜に投げ込む事もあったらしい。もっと気色悪いのは、場内で疫病が流行することを目的として、腐乱した動物の死体などを、投げ込んでもいたらしい。
 一種の細菌兵器ですね。人間の考える事は、今も昔も、さほど変わらないようです。
コメント
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