ケイの読書日記

個人が書く書評

角田光代「薄闇シルエット」

2014-09-22 14:49:23 | 角田光代
 友人と、古着屋を共同経営する37歳のハナは、恋人の「結婚してやる」みたいな言い方に腹を立て、別れる。
 次につきあった男とも上手くいかず、元恋人とヨリを戻そうとするが、「つきあっている女の子がいる」と断られ、激しく後悔する。

 古着屋の経営は順調だが、共同経営者のチサトは、もう一軒ブランド古着の店を出そうとし、そこは自分だけで経営するというので、ハナは内心面白くない。自分も何かやってみようと、古着を使った絵本が出来ないかと画策する。
 売れっ子デザイナーと組むことで、古着絵本は成功する。大喜びのハナ。だが、自分のアイデアだったはずなのに、いつのまにか古着絵本は、自分の手から離れ、売れっ子デザイナーのものに…。

 というストーリー。そこに、母の死、共同経営者の結婚、元カレの結婚などが、からんでくる。

 ストーリーはすごく面白い。(私、角田光代の小説で、つまらない本を読んだ事ない)ただ、読後感が、どうもスッキリしない。
 恋人とも別れ、共同経営者とも距離ができ、むなしい思いもするが、古着絵本が当たったので、これは女性のサクセスストーリーを書いてるのかと思ったが…。
 こういった、仕事上のつまずきって、よくある事で、それだけにリアリティがある。


 それにしても、このハナちゃんは、やりてのビジネスウーマンっていう訳じゃないのに(共同経営者のチサトが実権を握っている)生活が派手だなぁ。賃料が12万5千円のマンションに1人で住んでるし、元カレの結婚式に参加する時、服・バッグ・靴・アクセサリー一式で30万円以上つかった。
 それに外食が多いし、コンビニでビールやおつまみを、どんどんカゴに入れるし、食費がすごいことになっているんじゃないか?(彼女の母親でもないのに、私も細かい!)
 古着屋って、そんなに儲かるものなの?

 ロンドンの古着屋から仕入れるらしいが、同業者も多いし、なんといってもセンスがモノをいう世界。トシをとると、若い顧客の好みと、合わなくなるんじゃ…。
 若くして成功するより、成功し続けることの方が、うんと難しいんだろうね。
コメント
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