犬山家の三姉妹、長女は結婚7年目の専業主婦、次女は仕事にも恋にも全力投球の外資系企業キャリア、三女は余計な幻想を抱かず「去る者は追わず、来るものは拒まず」という西部劇に出てくる娼婦のような生活をしている。
この「思いわずらうことなく愉しく生きよ」は、離婚して出て行った彼女たちの父親のモットー。犬山家の家訓らしい。
三姉妹の生家は、とても裕福で、彼女たちは本当にのびのび育った。私立の女子高の馬術部で活躍し、夕食にはワインが欠かせない。
生家ではそれでよかったが、家を出て現実に直面すると、そうもいかない。特に長女の麻子は、夫のDVに苦しんでいる。
もともと粗暴な人が、あちこちで暴力沙汰を起こすのと違い、麻子の夫は、外では大変大人しく、紳士的で優しい。ただ、家庭内で、ちょっとでも気に入らないことがあると(例えば妹たちと長電話する)暴君になる。激しく暴れまわり、妻を殴り、髪をつかんで引きずり回し、倒れこんだ妻の頭を足で踏みつけ、唾を吐く。
それも、洋服に隠れ、見えない所を殴る。(児童虐待の親もそうらしい)ろっ骨などが折れると、次は折れないように殴る。
完全に激高し、我を忘れる訳じゃない。ちゃんと計算する冷静さを持っている。
夫は妻を失いたくないと思っている。愛しているからではなく、心置きなく殴る相手を失いたくないから。殴っても訴えられない相手を失いたくないから。
もちろん、全く愛情がない訳じゃない。殴った翌日は、妻にプレゼントを買ってきて、極力、優しくしようと努力している。
しかし、夫の思考はこうだ。「オレに暴力をふるわせる、愚かな行為をしている妻が悪い」そして、妻の思考も、長年暴力にさらされていると、こうなる。「夫に暴力をふるわれる原因をつくった私が悪いのだから、殴られて当然」
こういう思考回路に夫婦が陥ってしまったら、もう妻が殴り殺されるまで暴力は続くだろう。
とにかく、一刻も早く逃げる事! 小説内ではそうした。それが妻だけでなく、夫をも救う道なんだろう。
すごーく重い小説でした。
この「思いわずらうことなく愉しく生きよ」は、離婚して出て行った彼女たちの父親のモットー。犬山家の家訓らしい。
三姉妹の生家は、とても裕福で、彼女たちは本当にのびのび育った。私立の女子高の馬術部で活躍し、夕食にはワインが欠かせない。
生家ではそれでよかったが、家を出て現実に直面すると、そうもいかない。特に長女の麻子は、夫のDVに苦しんでいる。
もともと粗暴な人が、あちこちで暴力沙汰を起こすのと違い、麻子の夫は、外では大変大人しく、紳士的で優しい。ただ、家庭内で、ちょっとでも気に入らないことがあると(例えば妹たちと長電話する)暴君になる。激しく暴れまわり、妻を殴り、髪をつかんで引きずり回し、倒れこんだ妻の頭を足で踏みつけ、唾を吐く。
それも、洋服に隠れ、見えない所を殴る。(児童虐待の親もそうらしい)ろっ骨などが折れると、次は折れないように殴る。
完全に激高し、我を忘れる訳じゃない。ちゃんと計算する冷静さを持っている。
夫は妻を失いたくないと思っている。愛しているからではなく、心置きなく殴る相手を失いたくないから。殴っても訴えられない相手を失いたくないから。
もちろん、全く愛情がない訳じゃない。殴った翌日は、妻にプレゼントを買ってきて、極力、優しくしようと努力している。
しかし、夫の思考はこうだ。「オレに暴力をふるわせる、愚かな行為をしている妻が悪い」そして、妻の思考も、長年暴力にさらされていると、こうなる。「夫に暴力をふるわれる原因をつくった私が悪いのだから、殴られて当然」
こういう思考回路に夫婦が陥ってしまったら、もう妻が殴り殺されるまで暴力は続くだろう。
とにかく、一刻も早く逃げる事! 小説内ではそうした。それが妻だけでなく、夫をも救う道なんだろう。
すごーく重い小説でした。