ケイの読書日記

個人が書く書評

津村記久子「やりたいことは二度寝だけ」

2014-12-22 13:35:31 | 津村記久子
 表紙の装画があまりにもかわいいので手に取る。作者がモデルらしいぽーっとした女性が、ヨガのポーズをとっている。タイトルがまた、すごい!『やりたいことは二度寝だけ』 なんというテンションの低さ、低体温、低血圧気質。
 先回のブログが野心満々の林真理子のエッセイだったので、よけい感じる。でも、それがいいなぁ。

 津村記久子は小説もいいが、エッセイも好みだな、と読み進めていくと、意外な一面もある。この人、結構、スポーツ好きなんだ! 大阪の人だから野球好きは分かるが、欧州サッカーもかなり詳しいらしい。
 それに英語だけじゃなく、スペイン語も熱心に勉強しているようだ。
 この人の小説に、よく「語学が堪能で、インターネットの外国語スポーツニュースをさっさと読める女性」が出てくる。私は今まで、同僚でそういったモデルになる人がいるんだろう、と思っていたが、自分がモデルなんだ。へーえぇぇ!!!


 前半のエッセイは、日本経済新聞のエッセイ欄「プロムナード」というビッグネーム紙の連載で、やっぱり芥川賞の威力はすごいなぁと思った。原稿料もいいんじゃない?
 でも、考えるに、津村さんの作風が、日本経済新聞に合っているからの依頼だよね。

 女流小説家って、ちゃんと会社勤めをした人って少ないように感じる。
 もちろん、出版社勤務から作家になった人は多いが、出版社は高学歴の人が高収入を得ている特殊な業界で、一般的な会社とはいえない。他には…学生時代から文章で収入を得ていて、そのまま専業作家になったり。
 だから、普通の事務職やってるOLを、ちゃんと書ける人って少ないんだ。
 その点、津村記久子さんは、新卒で入った会社はすぐ辞めたものの、その後に入社した会社は、ずーっと勤めている。

 唯川恵なども、地方銀行に10年勤めていたから、一般事務職OLの日常を書くのがすごく上手い。
 やっぱり、自分で経験したことのない事柄を書くのは難しいよ。
コメント
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