ケイの読書日記

個人が書く書評

森博嗣 「人形式モナリザ」

2015-05-09 16:37:47 | Weblog
 実は、これ、電子書籍で読んだ。文庫の細かい文字が今のところは読めるが、この先読みづらくなってくるのは必至なので、kindleを買おうか迷ってたんだが、なんにせよ、文庫の大きさだから意味ないねと思ってた。
 でも、kindleってパソコンで読めるんだ!! で、早速購入。540円。本当に読みやすいです。嬉しい。


 この「人形式モナリザ」は瀬在丸紅子シリーズの第2作目。私、すごく前にこのVシリーズを3冊くらい読んだ事あるが、主人公の紅子さんの印象が、著しく薄いのだ。ほとんど覚えていない。女装趣味のれんちゃん(小鳥遊練無)と元気いっぱい関西弁のしこさん(香久山紫子)の2人の事は、すごくよく覚えているのに。
 作品も「黒猫の三角」は良い作品だと思ったが、後はイマイチ。このままVシリーズはスルーするつもりだったが、サナダさんから驚愕の情報を入手し、Vシリーズも読もうと思っている。
 驚愕の情報というのは、Vシリーズに出てくるへっくんが、実はS&Mシリーズの、あの人だったんだ!という情報。いやーーー、本当に驚きました。


 長野県のリゾート地に建つ、人形博物館。乙女文楽が上演されている最中、殺人事件がおこる。
 乙女文楽創始者の雅代が、何者かによって、背中をナイフで刺されたのだ。高齢の雅代は車いすに乗って舞台に立っていたが、その衆人環視の中、どうやって犯行は行われたのか?どう考えても不可能としか考えられないが…。

 森ミステリにしては珍しく、トリックは分かりやすい。ただ、動機がスッキリしない。スッキリしないというより、動機を軽視している。それが森ミステリの特徴と言えば言えなくもないが。
 この殺された雅代ばあさんは、夫との間に子どもがいて、愛人との間にも子どもがいる。つまり父親違いの異父兄弟。その子どもたちや孫たちが、仲よく文楽をやっているというのは、心情的に理解できないよ。
 だから、その異父兄弟姉妹や従兄弟たちの、どろどろした心情が、事件の遠因だと面白いんだが、ちょっとね。動機がさっぱりしすぎ。

 でも、もう一つのドロドロがすごいので、殺人事件の動機をサッパリしたかったのかもしれない。
 紅子と林(紅子の元夫)と七夏(林の現愛人)の三角関係が泥沼。紅子さん、別れた亭主がそんなに気になるなら、離婚なんかしない事!
コメント (4)
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