ケイの読書日記

個人が書く書評

岸恵美子「ルポ ゴミ屋敷に棲む人々」

2016-01-21 11:29:52 | Weblog
 読んでいて本当に身につまされる。10年後の自分の姿が、このゴミ屋敷の住人とかぶっちゃうね。
 筆者の岸恵美子氏は、地域看護学・公衆衛生看護学の専門家。「ネグレクト」とは、一般的には、児童虐待の一種で、子供の養育放棄の事をいうけど、「セルフ・ネグレクト」は、自分で自分を放置することらしい。

 たとえば…部屋の中が散らかっている。掃除をしなくてはならないが、やる気がおきない。あるいは、身体の調子が悪くて出来ない。やがて部屋の中が物でいっぱいになり、次の部屋も物で埋め尽くされると、誰かに片づけを頼める状況でなくなる。近所の人や民生委員、親せき、子供や孫が訪ねてきても、家の中に入れない。
 もちろん、台所も物がいっぱいで、調理ができない。ゴミの山を登るように移動して、ペットボトルに水を汲み、缶詰やお菓子を食べている。トイレへの通路も物でふさがってしまったので、洗面器に用を足し、窓の外に捨てている。
 あまりの悪臭と害虫の多さに、近所でも問題になり、役所の福祉課や警察がやってきて、扉を開けると…。
 食べ物の腐った臭いやカビの臭いの中、いくつものゴミの山をかき分けると、その奥に、かすかに動く黒い人影が…。あわてて救急車を呼ぶが、ゴミ屋敷の住人は「嫌だ」と乗ることを拒否し、大モメにモメる。

 実際、救急車に乗ることを拒否するセルフ・ネグレクトの人たちは多いらしい。他人に助けを求めるのが苦手だからこそ、ここまでになってしまったんだろう。

 専門家である筆者が、様々な事例をあげて、それへの対策を書いているが…そんなに上手くいくのかなぁ。主に高齢者を対象にしているから、介護保険をつかったりして、良い方向に進ませるんだろう。


 ただね、ゴミ屋敷を片付ける時、住人にキチンと確認してから物を捨てること!!と書いてあるが、捨てる決断ができないからゴミ屋敷になるのであって、いちいち確認していたら、片付けなど出来ないよ。
 こういう時こそ、身内の出番! 子どもや配偶者が、ぽいぽい捨てていきましょう。ケンカになっても聞き流し捨てる! 私はダンナのゴミ部屋をそうしているし、今後もそうするつもり。
 
 しかし物を捨てていると「商品の値段が安いのは、本当に良い事か?」と疑問に思うね。値段が高かったら、買う物も少なく済み、大切に使う。だいたい、江戸時代にゴミ屋敷なんてあったんだろうか? ないよね?
コメント (4)
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