この作品は「このミステリーがすごい」「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」の国内部門ランキングで1位に輝き、史上初の3冠を達成したと聞いているので、とっても期待して読んだが…期待通りだった。
全部で6短編収録されているが、すべてが傑作。特に、表題作の『満願』は本当に素晴らしい。
夫が遊興費として借りたお金の返済に苦しみ、高利貸しを殺した女が、量刑を不服として控訴する。その遊び人の夫が病死し、いくばくかの死亡保険金が入って、金融会社に借金を完済するめどが立った所で、女は控訴を取り下げ刑に服す。
高利貸しを殺したところで、借金が棒引きになる訳でもない。なぜ、女は殺人を犯したのか、その真の動機が最後に明らかになる。見事。ただ、私には『夜警』の方が印象に残った。
この『夜警』を読んだとき、今年の4月に滋賀県で起きたある事件を思い出した。交番で新人警官が、上司である警官を背後から射殺して逃走した事件。思い出した人、多いんじゃないかな?
新人警官はすぐに捕まった。容疑を認めたし、未成年という事もあり、報道もすぐ沈静化したが、「パワハラをうけた」「両親を悪く言われた」という動機には、納得がいかなかった。
だって、交番勤務に就いたの、2週間前なんでしょ? それに、どうして射殺なの? カッとした時、拳で殴る、あるいは手近にあった物で殴るなら理解できるけど、カッとしたからと言って、背後から拳銃で2発うつだろうか?日本人が? これが日常生活に銃があるアメリカならいざ知らず。
この人は本当は「拳銃で人を殺してみたかった」人なんじゃないだろうか?
小説の『夜警』でも、新人警官が登場する。大学卒業して警官になったのだから20歳以上だが、教育係である上司は、彼を一瞬でモノにならないと見抜く。スナックでのケンカの仲裁で、拳銃に手を伸ばしたのだ。小心者だが、虚勢を張りたがるタイプ。
彼らの管内で、男が刃物を振り回して暴れる事件があり、上司と新人警察官は現場にかけつける。新人は発砲し、暴力男は射殺されるが、新人も切り付けられ殉職する。新人は勇敢な警察官という美談になるが、発砲には歪んだ動機があった。それは…。
銃が大好き。合法的に人を撃ってみたい。そういう若い人って、結構いるんじゃないの?
全部で6短編収録されているが、すべてが傑作。特に、表題作の『満願』は本当に素晴らしい。
夫が遊興費として借りたお金の返済に苦しみ、高利貸しを殺した女が、量刑を不服として控訴する。その遊び人の夫が病死し、いくばくかの死亡保険金が入って、金融会社に借金を完済するめどが立った所で、女は控訴を取り下げ刑に服す。
高利貸しを殺したところで、借金が棒引きになる訳でもない。なぜ、女は殺人を犯したのか、その真の動機が最後に明らかになる。見事。ただ、私には『夜警』の方が印象に残った。
この『夜警』を読んだとき、今年の4月に滋賀県で起きたある事件を思い出した。交番で新人警官が、上司である警官を背後から射殺して逃走した事件。思い出した人、多いんじゃないかな?
新人警官はすぐに捕まった。容疑を認めたし、未成年という事もあり、報道もすぐ沈静化したが、「パワハラをうけた」「両親を悪く言われた」という動機には、納得がいかなかった。
だって、交番勤務に就いたの、2週間前なんでしょ? それに、どうして射殺なの? カッとした時、拳で殴る、あるいは手近にあった物で殴るなら理解できるけど、カッとしたからと言って、背後から拳銃で2発うつだろうか?日本人が? これが日常生活に銃があるアメリカならいざ知らず。
この人は本当は「拳銃で人を殺してみたかった」人なんじゃないだろうか?
小説の『夜警』でも、新人警官が登場する。大学卒業して警官になったのだから20歳以上だが、教育係である上司は、彼を一瞬でモノにならないと見抜く。スナックでのケンカの仲裁で、拳銃に手を伸ばしたのだ。小心者だが、虚勢を張りたがるタイプ。
彼らの管内で、男が刃物を振り回して暴れる事件があり、上司と新人警察官は現場にかけつける。新人は発砲し、暴力男は射殺されるが、新人も切り付けられ殉職する。新人は勇敢な警察官という美談になるが、発砲には歪んだ動機があった。それは…。
銃が大好き。合法的に人を撃ってみたい。そういう若い人って、結構いるんじゃないの?