ケイの読書日記

個人が書く書評

群ようこ 「ネコと昼寝 れんげ荘物語③」 角川春樹事務所

2019-03-13 16:31:39 | 群ようこ
 「れんげ荘物語」の第3弾。ずいぶん前、最初の「れんげ荘物語」を読んだとき、ハラハラもドキドキもない、いつもの群ようこワールドの話だったけど、ヒロインが変わっていたので覚えていた。
 ヒロインのキョウコは、元広告代理店勤務の総合職OL。給料は高いがべらぼうに忙しく、パワハラ・セクハラが日常茶飯事の会社だったので、つくづく嫌になり、20年余り勤めた後、会社を辞めた。転職したのではない、仕事をすること自体、止めてしまったのだ。
 つまり、死ぬであろう年齢から計算して、なんとか生活できる金額が貯金できた時点で辞めたのだ。いくら高給取りといっても、そんなに貯まるかな?とも思うが、実家暮らしで目標があれば、貯めることができるんだろう。
 ブツブツ文句がうるさい母親がいる実家を出て、月3万円のボロアパートに引っ越し、月10万円以内(家賃込み)で生活することになる。

 家賃込みで月10万円というと、生活保護費以下だけど、どうだろ?なんとかやっていけるかな?
 私、こういう事、ちまちま考えるの好きなんだよね。家賃を払ったら、残り7万円。この人は、自分の貯蓄で最後まで生活するつもりだから、国民年金は払わないだろう。でも、国民健康保険は払わないと、ケガや病気の時、本当に困るよ。収入がないなら、国民健康保険はすごく安いから必ず入ってね。
 食費は自炊で2万円。水道光熱費は1万円。水道とガスは基本料金でOKだと思うが、電気料金はは夏冬と春秋で大きく変動するから平均で1万円。通信費5千円。交際費+レジャー費1万円。衣料+雑貨で1万円。服はお隣のクマガイさんからもらう事が多いらしい。だから肌着しか買わないようだ。
 残った1万5千円で、具合が悪くなったら医者に行ったり銭湯に行ったり、余りは来月に繰り越して…などと脳内で妄想する。

 キョウコの趣味は読書なので(つまり群ようこ自身がモデル)図書館を利用し、お金をつかわない。それにしても、図書館は家に居場所がない高齢者のたまり場になっているらしく、読書のために来るというより、居眠りのため来る老人が多いようだ。

 このボロアパートは、一人暮らしの自由業の女性ばかりが住んでいて、それなりに仲が良く、頂き物のおすそ分けをしたり、お喋りをしたりと、結構楽しんでいる。

 色々とキョウコさんの身の上を案じるが、彼女は、20年余り会社勤めをしたわけだから、65歳からは多くはないが年金が入る。それに、彼女は都内に実家があり、兄家族が高齢の母親と住んでいるが、母親が亡くなれば、財産の権利は半分キョウコにある。兄家族とは仲が良く、行き来がある。そう心配しなくてもいいか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする