ケイの読書日記

個人が書く書評

宮沢賢治 「どんぐりと山猫」

2020-08-14 17:19:11 | その他
 これも有名な童話。一郎という子どもが、山猫から「裁判をするので来てください」という意味のヘンテコな手紙をもらい出掛けていくという話。
 子どもの頃、絵本で読んだときには不思議に思わなかったが、中高年になった今、疑問に感じる。日本に山猫っているの?(いや、いたの?) 有名なところでは、沖縄のイリオモテヤマネコ。滅危惧種として大切にされている。
 だが、東北に山猫っていたんだろうか?

 『遠野物語』は、岩手の山間部の民間伝承を集めた話だけど、ニホンオオカミは悪者としていっぱい出てくる。群れで人間を襲う。(現代では絶滅している) でも、山猫が人間に悪さをしているという話は全くなかった。それとも、ネズミ退治に飼われていたイエネコが、ノラになって野生化したんだろうか?
 などと考えながら読み進める。

 だいたいこの山猫は「やまねこさま」と呼ばれて威張っていて、どんぐりたちの争いの裁判官をしているのだが、それがなかなか解決がつかず、助っ人に一郎を呼んだらしい。一郎の大岡裁きによって、どんぐりたちの「頭のとがったどんぐりが一番偉いのか、丸いのが一番偉いのか、大きいのが一番偉いのか、押しくらまんじゅうに勝ったのが一番偉いのか」という大問題が一気に解決し、めでたしめでたし。

 一郎は、どんぐりを一升もらって馬車で帰途に就く。この馬車がかぼちゃではなく白く大きいきのこで作ってあるらしく、馬はねずみ色のおかしな形をしていて、元々はネズミなんだろう。
 宮沢賢治も『シンデレラ』を読んでいたんだろうね
コメント
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