ケイの読書日記

個人が書く書評

群ようこ「咳をしても一人と一匹」角川文庫

2021-11-06 16:07:15 | 群ようこ
 「しいちゃん」というおばあさん猫と、群ようこの生活を描いた日常エッセイ。普通なら「ほのぼの」「ゆったり」といった形容詞が付くだろうが、この19歳のしいちゃんは、そんな温かい形容詞が吹っ飛ぶほどの傍若無人な女王様ぶり。飼い主・群ようこを下僕のようにこき使い、今日も我が儘いっぱい。(2018年に19歳だったんだから、今は22歳。ご存命かどうか…)

 我が家のオスの茶トラも15歳で高齢だから、群さんの老猫を大切にしたいという気持ちはよく分かるが、それにしても贅沢させ放題!! キャットフードはドライとネコ缶を色々取り揃え、一度の食事に何種類も開けるらしい。懐石料理みたいに、缶やドライフードが何皿も並ぶ。それを一口ずつ、しいちゃんは召し上がる。まったく食べない缶や皿もあるようだが、一度封を切ったものは、次回に回さず捨てる。
 ネコ缶は国内製ではなく、海外製の高価なオーガニックのモノ。一度、群さんはしいちゃんの食事代を計算してみたら、1日で1000円ちょっとかかっているらしい。つまり1か月で3万円以上。すごいなぁ。3キロの猫が人間以上の食事。今、下宿している大学生の1か月の食費って3万円もないんじゃないかな?

 群さんは、しいちゃんが来てから19年間、1泊の旅行もしなかったようだが、これもスゴイ。つまり、取材旅行みたいな仕事がらみのモノも断っているんだ。「猫は人に懐かず家に懐く」とはよく言われるが、餌と水を十分に用意していれば、1泊2日ぐらいの旅行はOKだと思うよ。

 ボケたせいか、しいちゃんは夜中にみゃあみゃあ鳴いて、群さんを起こす。無視していると、顔をぽかぽか叩いて起きろと催促する。我が家の茶トラ爺さんもそう。聞くところによると、老犬の夜吠えが酷くて困っている人も多いらしい。ご近所から苦情が出て困っている、という話を聞く。人も犬も猫も、高齢化すると色々あるよね。
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