ケイの読書日記

個人が書く書評

藤木稟 「バチカン奇跡調査官①黒の学院」 角川ホラー文庫

2016-10-18 09:59:59 | 藤木稟
 前前々回のブログにアップした「バチカン奇跡調査官」は、シリーズ第4作だったんじゃなかったっけ?
 なんとか記念すべき第1作を読みたいものだと書架をのぞいてみたら…あった! 早速借りる。

 天才科学者・平賀神父と、古文書暗号解読のエキスパート・ロベルト神父の美青年コンビの馴れ初めを読みたいと思ったのが理由だが、別に初対面の場面の記述はなく、少しがっかりした。(ホームズとワトソンの初対面の有名な場面「アフガニスタンに~」みたいな劇的な初対面を期待したのだが)
 それとも、シリーズが進んでいくにつれ、エピソードゼロみたいな形で書かれるんだろうか?


 西暦2000年、修道院と併設する良家の子息ばかりを集めた寄宿舎でおきた『奇跡』を調査するため、現地のアメリカ南部に飛んだ平賀とロベルト。その学校というのが…萩尾望都『トーマの心臓』や竹宮恵子『風と木の詩』そのままの世界なのだ。
 グレーグリーンの神秘的な瞳と長い巻き毛のプラチナブロンドの上級生。寮長をしている彼は、ホワイトプリンスと呼ばれている。彼の取り巻きたち。選ばれたものしか入会できないクラブやお茶会。どこかにユーリやオスカー、ジルベールがいるだろうと思っちゃうよね。
 
 この学校で残虐な殺人が次々と起こり、しかも学校の上層部は「生徒たちが動揺する」といって警察に届けないのだ!!
 バチカンから来た平賀とロベルトは、奇跡の調査だけでなく、この殺人事件にも首を突っ込み、やがてこの学校のとんでもない裏の顔が発覚する。荒唐無稽とも感じるがとても面白い!!

 ストーリーとは関係ないが、気になってしょうがない事が。
 現場は、メキシコとの国境沿いのアメリカ南部にある修道院だが、そこの神父たちはラテン語で話し合っているのだ。世界のどこでも、神父であればラテン語がしゃべれるんだろうか? ラテン語の書物ってどっさり残っているだろうが、ラテン語を話せる人は極端に少ないんじゃ…?  サンピエトロ大聖堂内では話されるだろうが、バチカン市民はイタリア語をしゃべっているんじゃないの?
 だいたい、録音再生できるようになったのは最近の事なんだから、昔の人がどうやって発音していたのか正確には分からないよね。自分ではラテン語を話しているつもりでも、ラテン語じゃない事だってありうる。それとも、他のヨーロッパ言語とさほど変わらず、一種の方言みたいな感覚なのかな?

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