ケイの読書日記

個人が書く書評

藤木稟 「バチカン奇跡調査官④ 千年王国のしらべ」

2016-11-08 14:11:57 | 藤木稟
 最初に、主人公の平賀神父が心肺停止状態になったところから始まるので、すごくスリリング! 一体どうしてこんなことに…? と興味津々。


 バルカン半島の小国・ルノア共和国にいるアントニウス司祭は、多くの重病人を奇跡の力で治し、聖人の生まれ変わりと噂される。それどころか、銃で撃たれ死亡した3日後に、蘇ったというのだ!!
 その真偽を調査するため、平賀とロベルトは、ルノア共和国に飛び、あれこれ調べるが、いくら調べても疑いの余地がない、完璧な奇跡。
 しかし、死者が蘇ったなど、キリスト以外であるはずはない。ということはアントニウス司祭は、キリストの生まれ変わり? そんな事を認めたら、カソリックの教義が成り立たない。信仰と目の前の事実の板挟みになって悩む平賀とロベルト。
 そんな中、悪魔崇拝グループによって拉致された平賀は、毒物により心肺停止状態に陥った。
 しかし、医者が見放した平賀を、アントニウス司祭は、胸に胸、腹に腹を押し当て、耳から命の息を三度吹き込んで、平賀の耳元で「イエス・キリストの御名によって命ずる。汝よ、甦れ」とささやき、蘇生させる。まさに奇跡!!


 この小説は推理小説ではないので、ネタバレになるが書いてしまおう。これらの奇跡は、米ソ冷戦下のソ連で、研究開発された科学技術によって起こしたことになっている。冷戦下では、ソ連だけでなくアメリカも、色んなことをやっていたらしい。テレパシーの研究などを大真面目に。
 しっかし、暗示や催眠術で何もかもできるんだったら、どうしてソ連は崩壊したのかな? 国営放送で、国民に「もっと働け! もっと生産性を上げろ!」と暗示すればいいのに。

 今回の平賀とロベルトは操られっぱなしで、あまり良い所はなかったので、残念。チベット仏教の転生したダライ・ラマを探し出す方法など、雑学知識は面白かったけどね。
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