ケイの読書日記

個人が書く書評

カーター・ディクスン「ユダの窓」

2006-08-05 14:45:02 | Weblog
 カー特有のオカルトっぽさがないが、すごく面白い。私は今までカーの作品では『皇帝のかぎ煙草入れ』が一番かな、と思っていたがそれよりもいい出来だと思う。
 カーにしては珍しくペリー・メイスンのような法廷物。


 ジェイムズは、結婚の許しをもらうため恋人の父親を訪ねた。勧められるまま、飲み物を口にした彼は、ノドに異様な感触を覚え、意識を失ってしまった。

 しばらくして目を覚ました彼が見た光景は、完全な密室と化した部屋で、胸に矢を射こまれて死んでいる恋人の父親の姿だった。


 一人の人間が意図したわけでなく、いろんな食い違いが重なり合って生じた完全な密室殺人。なるほど、そういうことだったのか、と感心すること必至。

 ヘンリ・メルビル卿も、いつもの好色な飲んだくれオヤジではない。秘書のロリポップ嬢をしたがえ、法廷弁護士としてスーパーマンのような活躍をみせる。
 おススメの1冊。
コメント (5)
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