ミステリマニアが強いこだわりを持って書いた作品…というカンジですね。力作です。
第1章に、登場人物の一人の口をかりて作者が自分のミステリ観を述べている。
「僕にとってミステリはあくまでも知的な遊びの一つなんだ。小説という形式を使った、読者対名探偵、読者対作者の刺激的な論理の遊び―それ以上でも以下でもない。
だから、一時期日本でもてはやされた"社会派"式のリアリズム云々はもうまっぴらなわけさ。1DKのマンションでOLが殺されて靴底をすりへらした刑事が愛人だった上司を捕まえる。…やめてほしいね。汚職だの政界の内幕だの現代社会の歪みが生んだ悲劇だの、その辺も願い下げだ。
ミステリにふさわしいのは、時代遅れと言われようが何だろうが、やはりね、名探偵、大邸宅、怪しげな住人達、血みどろの惨劇、不可能犯罪、破天荒な大トリック…。
絵空事で大いに結構。要はその世界の中で楽しめればいいのさ。」
そのミステリ観どおりに、大分県の孤島を訪れたミステリ研究会のメンバー7人は予告どおり次々殺されていく。クリスティの『そして誰もいなくなった』そっくりに。
朽ちかけた小さな十角館など、隣の部屋の人間が何をやっているのかなんて、すべて分かるだろう。その中で誰にも気づかれず殺人が行なわれ、手首が切り落とされるなんて不可能だろうが、それはこの際問題ではない。
最初の殺人が行なわれ、殺人予告プレートが冗談ではない事がわかったのに、他人の作った料理を疑いもせず食べて死んでいくミステリ研のメンバー。
おいっ!!アンタ、ミステリ研だろう、一番用心しなくてはならないのが飲食物なのに。
そういったリアリティの無さを差し引いても、十分楽しめる作品です。
PS.探偵役の島田潔という名前は、なんとかならないんだろうか?
第1章に、登場人物の一人の口をかりて作者が自分のミステリ観を述べている。
「僕にとってミステリはあくまでも知的な遊びの一つなんだ。小説という形式を使った、読者対名探偵、読者対作者の刺激的な論理の遊び―それ以上でも以下でもない。
だから、一時期日本でもてはやされた"社会派"式のリアリズム云々はもうまっぴらなわけさ。1DKのマンションでOLが殺されて靴底をすりへらした刑事が愛人だった上司を捕まえる。…やめてほしいね。汚職だの政界の内幕だの現代社会の歪みが生んだ悲劇だの、その辺も願い下げだ。
ミステリにふさわしいのは、時代遅れと言われようが何だろうが、やはりね、名探偵、大邸宅、怪しげな住人達、血みどろの惨劇、不可能犯罪、破天荒な大トリック…。
絵空事で大いに結構。要はその世界の中で楽しめればいいのさ。」
そのミステリ観どおりに、大分県の孤島を訪れたミステリ研究会のメンバー7人は予告どおり次々殺されていく。クリスティの『そして誰もいなくなった』そっくりに。
朽ちかけた小さな十角館など、隣の部屋の人間が何をやっているのかなんて、すべて分かるだろう。その中で誰にも気づかれず殺人が行なわれ、手首が切り落とされるなんて不可能だろうが、それはこの際問題ではない。
最初の殺人が行なわれ、殺人予告プレートが冗談ではない事がわかったのに、他人の作った料理を疑いもせず食べて死んでいくミステリ研のメンバー。
おいっ!!アンタ、ミステリ研だろう、一番用心しなくてはならないのが飲食物なのに。
そういったリアリティの無さを差し引いても、十分楽しめる作品です。
PS.探偵役の島田潔という名前は、なんとかならないんだろうか?