心の扉 神戸カウンセリング花時計

心理療法や催眠療法、ストレス解消や悩み等メンタルに関するもの、そして日常の出来事を自由気ままに掲載します。

謎のウイルス

2012年10月14日 | 心理カウンセリング


ある日、マスクをした20代の女性が

カウンセリング・ルームに来られました。



相談内容をお聞きすると、

人に近づくとウイルスに感染し、

身体が腐ってしまうように思えて、

マスクを外すことが出来ないとのこと。



よって、施療もマスクをしたままで

行うことになります。



「前に医療機関からそのようなウイルスや細菌が

現在の社会に蔓延していることはないと言ってもらえて、

少しは安心することが出来ているのですが。。。」


ーそうですか、それはよかったですね。

 それと、仮にそのウイルスや細菌が存在していたとしても、

 宿主である人間には無害であり、

 感染する○○さんだけが身体が腐るというのも、

 どうなんでしょう。

 
「はい、そうなんです。冷静に考えるとそうですし、

そう自分に言い聞かせるのですが、

安心することが出来ないんです。」


ーそうですよね。どうであれ、

 そう感じてしまうことは事実ですよね。

 それを何とかしたいんですね。


「はい。」



この会話で、この女性が自分の恐怖の感情に

どの程度、恐怖感情に圧倒されているかの判断が出来ます。



圧倒されている程度が大きくなると、

医療機関から何を聞こうと何を示されようと、

謎のウイルスや細菌が実際に蔓延していると訴えてくるでしょうし、

他人は大丈夫で自分だけ身体が腐ると強く主張してくるはずです。



しかし、そうではないのですから、

自分を客観的に捉える力や思考力は充分に働いていると判断出来ます。

となると、後は。。。



人は、自分の素直な気持ちを感じることは

危険であると判断すると

素直な気持ちに蓋をして押し込めてしまいます。



しかし、その気持ちを押し込めることが出来たとしても、

感情も同じように押し込めることが出来ない時には、

意識の気が付かないレベルで、しかも瞬時に、

自分が持っても危険ではない別の良い気持ちに

その感情をくっつけてしまうことがあります。



浅く、ゆっくりとしたレベルでは、

酸っぱいブドウの話のように、

食べることが出来なかったブドウを

どうせ酸っぱくてまずいブドウだとするように、

悔しい気分を何とか納得させようとする

良い訳レベル。



もうちょっと深く、早いレベルでは、

殴る蹴るの酷いパートナーにも関わらず、

私はあの人がいなければ生きていけないと思い込むレベル。



さらに、もっと深く、瞬時のレベルになると、

この女性のように、

掛け離れたものと繋げてしまいます。



ですから、この問題の解決のためには、

身体が腐ってしまうと言う気持ちと恐怖の感情との繋がりを断ち切り、

本来の素直な気持ちへと繋ぎ直すことが出来るかどうかとなります。



この女性は充分な思考力と柔軟性を備えていました。

そして、自分の気持ちと向き合う強さも備えていました。

素晴らしい女性でした。



結果、

身体が腐ると言う恐怖を解消するというだけでなく、

そのようなことに至ることになった元々の問題をも解決し、

今でも、忘れた頃にひょこっとメールを頂いたりします。



心の悩みや問題を解決に至るには、

どの様な場合でも、その多くは相談者が担うことになります。

施療する側が担うのは、その一旦、一部でしかありません。

そして、施療は、

悪くなったものを良くするのではなく、

それまでよりも自分の心を豊かにするものです。



以前のブログ「個人が持つ力」や「頂いたメール」でご紹介した方も含め、

問題を見事なまでに解決する方と出会うたびに、

心より敬意を感じると共に、感動と勇気を頂いている私がいます。


催眠療法&心理療法 神戸ストレスカウンセリング・ルーム花時計

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