日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

浴衣の着こなし-「左前」で浴衣を着ないで!-

2006-07-29 23:10:47 | アラカルト
今日は全国各地で、花火大会や夏祭りがあったようだ。
所用で出かけた名古屋駅でも、浴衣姿の女性をたくさん見かけた。
そのなかで、気になったことがあった。
毎年のように見かける、「左前」で浴衣を着ている女性だ。
年々、この「左前」で浴衣を着てしまっている若い女性が、増えているような気がする。
「左前」というのは、亡くなった人の死出の着方だ。

6月くらいになると、書店では「かんたん浴衣の着こなし」といった類の、着つけ本をたくさん見かける。
おそらく「この夏浴衣で夏祭りや花火大会に、彼と一緒に出かける!」、という若い女性たちが「夏イベント勝負衣装」として、浴衣を選び、このような着つけ本を読んでいるのではないだろうか?
少なくとも街中で見かける浴衣姿の若い女性のうち、8割程度は彼氏と一緒のように感じた。
その彼と一緒の時に着る「勝負衣装・浴衣」が、死出の着方ではチョッと問題なのではないだろうか?

そこで来年に向け、呉服店やデザイナーズ浴衣、ユニクロやスーパーの浴衣を作るメーカーに提案をしたい。
「四つ身」と呼ばれる、こども向けの浴衣やきものには「あげ」があり、腰紐が縫い付けてある。
浴衣ビギナー向けの商品として、同様の「あげ」や「腰紐」を検討してみてはいかがだろう。
と言うのも、きものの着こなしポイントである「おはしょり」を、スッキリと真直ぐに整えている女性も、年々減ってきているように見受けられるからである。
「おはしょりの下線と帯は、平行にある」というのが、きものや浴衣をスッキリと見せるのだが、なかなかそこまで気持ち的余裕も技術もないのが、現実だからだ。
ならば、こどものきもののように、事前に作ってしまえば良いのではないだろうか?

それだけではなく、胸のボリュームを抑え、涼やかな襟元を演出するために、「寄せてあげるブラ」ではなく、ボリュームを抑える「スポーツブラ」や、薄い地色の浴衣はもちろん、補正+汗取り用の「浴衣スリップ」等のセット販売なども提案したい。
「浴衣」そのものは、その文字のごとく「湯屋」で着る物だった。
それが、「夏イベントの勝負衣装」へと、変化してきているのだ。
浴衣の柄ばかりがファッショナブルになり、着方そのものに対しての配慮や提案は旧来のままだ。

きもの自体の市場そのものは、縮小傾向にある。
その中で、唯一拡大傾向にあるのが「浴衣市場」なのだ。
とすれば、「浴衣」をきっかけにきものへの関心を高めるため、今の若い女性たちの「浴衣姿」をもっと観察をし、問題解決となる提案をして欲しい。