日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

ブランドにすがる人たち

2006-12-14 23:08:14 | 徒然
日本に「ブランド」が、溢れかえるようになってどのくらいたつだろう?
ルイ・ヴィトンやグッチのショップには、相応と言いがたい若い人たちが押し寄せている。
「ブランド(の本質)が、自分のライフスタイルに合っている」と言う理由よりも、「とりあえず、みんな持ってるし~。有名だから」という理由のような気がする。
「持つことで、自信になるし~」と言う、人もいるようだ。
それほど「ブランド」は、魅力的なモノではある。

それは決して「海外有名(ファッション)ブランド」だけに、限ったことではない。
復党騒ぎとなった「自民党」も、同じだろう。
復党を果たした議員さんも、刺客と呼ばれた議員さんも「自民党」という「ブランド」がなくては、意味がないのだ。
特に、岐阜1区などは。
もちろん、政党に属していないと「政党助成金」等が受けられず、金銭的に厳しいと言う事情があるのだろう。
昨年、あれほどの思いで選挙を戦ったのだから、「郵政民営化反対」を掲げる他の政党へ属せばいいだけなのではないだろうか?
でも「自民党」という「ブランド」のほうが、政党助成金以外の理由で魅力的だったと言うことがよく分かる。
政治信条よりも「ブランド」の方が、大切なのだ。

最近何かと話題の、石原東京都知事も「石原ブランド」にすがっているように思える。
確か、都知事選の第一声は「石原裕次郎の兄・石原慎太郎です」だったと思う。
国民的(ある世代にとっての)ヒーローだった弟を宣伝に使い、弟が社長をしていたプロダクションに所属している俳優さんたちを動員して、選挙戦を戦っていた。
私は、東京都民ではないので関係ないといえば関係ないのだが、その選挙戦やその後のメディア露出など、とても都知事と言う印象ではない。
本業の都知事としての仕事はしているの?と、疑問に感じるほど、東京都以外での活躍である。
それを可能にしているのは、一家揃っての「石原ブランド」だろう。
その「石原ブランド」を利用して、ご子息の重用は都民の皆さんにとってどう見えるのだろう?
今、東京都民の皆さんには「石原ブランド」が、必要なのだろうか?

「ブランド」を持つことは、魅力的であり一種の安心材料だろう。
企業が「ブランド構築」に躍起になるのは、それが市場の優位性に繋がるだけではなく、生活者や社会にとって「信頼の約束」となるからだ。
でも「ブランドにすがる人たち」は、「信頼」とか「魅力」を生活者や社会に与えている訳ではない。
自分が「ブランドの力」を借りて、利用しているだけなのだ。

それを見極めることが、生活者に求められている。