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映画祭と破綻自治体

2007-01-18 21:57:26 | アラカルト
今日の新聞各紙に、「1回限りの夕張映画祭」の記事が掲載されている。

夕張市といえば、昨年自治体として破綻したとして話題になった。
いわゆる「箱モノ行政」というか「補助金行政」で、まちの規模と必要な箱モノを考えず「観光の目玉」として、無計画に建てた結果採算が合わず破綻の一因となったのだ。
もちろん、まちの高齢化などによる福祉の負担増などもあったとは思うのだが、どう見ても不釣合いで場違いな感じの「観光箱モノ」を当てこんだ行政負担が大きかった様に、思われてならない。
そのしわ寄せとなって、中止に追い込まれたのが「映画祭」だった(部外者からは、そのように思えた)。

夕張市だけではなく、地方自治体の多くが将来的に「財政破綻の危機」が言われている。
その中で地方ならではの活性策のひとつとして、文化事業が注目されている。
拙ブログでも何度か取り上げてきている「越後妻有トリエンナーレ」は、日本一の豪雪地帯で、これといった産業もない。
もちろん、過疎と高齢化が進んでいる地域だ。
その地域が世界のアート界から注目され、海外からの来場者が増えている。
ほかにも、ベネッセが直島(なおしま)で展開しているアートプログラムなどが、注目されている。
いずれも、東京都心などから遠く離れた場所にある。

これらの事例を、単なる「アート・プログラム」という範疇でとらえるのではなく、地域の活性化の一案として考えることができないのは、なぜだろうか?
美術館で鑑賞するのが「アート」というのではない。
触ったり、自分が参加していくことも「アート」のあり方なのだ。
アートだけではなく、今回の夕張映画祭のように映画も音楽も、ひとつの産業として立派に成り立つ要素をもっている可能性があるのではないだろうか?

そのためには、私たちも従来の「鑑賞する」というスタイルではなく、「参加する」ということが大切だし、受験教育ではその「感」は育ちにくいとは思うのだが・・・ただ、世界に誇れる日本の文化というコトを忘れたくない。