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日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

高齢者がまちを活性化する

2012-03-16 20:39:24 | ビジネス
先日、友人に誘われ足助町の「中馬のひな祭り」を見に出かけてきた。
愛知県では紅葉で有名な、「香嵐渓(「こうらんけい」)」がある所。
江戸時代から昭和30年代前半までは、東海と信州を結ぶ山間の街道沿い宿場町として栄えた場所でもある。
その後、自動車の普及にあわせ高速道路など整備などにより、足助の町そのものは寂れた。
話はそれるが、「平成の大合併」で現在の足助町は豊田市足助町となっている。
足助の町が寂れるキッカケとなったモータリゼーションの象徴とも言える「トヨタ自動車」本社がある市に合併された、というのも時代を象徴するような気がする。

そんな足助町だが、随分前から地域の活性化に積極的に取り組んでいる。
取り組むといっても、多くの若者たちは職を求め都会に出て行ってしまっている。
残っているのは、高齢者がほとんどという状況だったと思われる。
そこで取り組んだのは、地元の農作物や畜産を活用した加工食品を作ることだった。
出来たのは、「足助ハムZIZI工房」「パン工房バーバラはうす」
ハムなどを作る「ZIZI工房」は、男性が中心で名前の由来はどうやら、小さな子どもがおじいさんを呼ぶ時の「じいじ」のようだし、パンを作る「バーバラはうす」の「バーバラ」は、「ばあば」に三河・遠州弁の「達」を示す「ら」を加えたところからきているようだ。
そして、香嵐渓などを訪れる人たちの評判を呼び、現在では高齢者中心ではなく、若者も多くいる職場となり、工房を訪れると高齢者と若者が仲良く仕事をしている、というほほえましい光景を見ることが出来る。
現在は企業化し「百年草」という、レストランや宿泊施設までを運営するまでに発展している。

しかし、足助の地域の活性化はこのような取り組みで終わっていない。
「中馬のひな祭り」で、街道沿いの古い蔵や店舗に飾ってあるお雛様を見て歩くと、意外にも若い人クリエーターたちが、そのような場所を借り受け(と思われる)自身の作品を売っていたり、都会でもなかなか見られないようなこだわりの書店があったりするのだ。
外見は古いのに、お店の中はモダンで落ち着きのある、居心地の良い場所となっている。
しかもお隣のお店は、古い荒物店だったりするのだから、そのギャップの面白さも足助の新しい魅力となっている。

考えてみれば、これから先の日本は「高齢者主体の社会」となっていくことは、目に見えている。
そしてその「高齢者」は、50年前の「高齢者」とは随分違う。
例えば、「サザエさん」のお父さん・波平さんは54歳という設定だが、今の54歳よりも随分年上のような印象がある。
それほど、今の「高齢者」は若々しく元気に様々な活動をしている、と言えるのではないだろうか?
とすれば、「高齢者」という古いイメージに閉じ込めるのではなく、むしろ地域の活性化の人材として活用すべきだろう。
高齢者といわれる人たちが、元気に自分たちの力でまちを活性化させることで、逆に若者が刺激を受け、他の地域からの若者さえもひきつける魅力ある「まちづくり」ができる可能性も多いのあるのでは?

そんなことを見せてくれた、足助町の散策だった。