日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

食卓で話そう

2012-03-27 18:59:50 | ライフスタイル
先日「ちょっとした工夫が、利益をもたらす」 というタイトルで、「サトウの切り餅」について、エントリをさせていただいた。
そのエントリに対して、さぶさんが

餅も人と会話ができていたんじゃなかろうかと思う。
今は味気がありませんねー。レンジにせよトースターにせよ器の中。ガラス越しに餅の状態が見えないわけじゃないけれど、会話はできません。
なんだか、フィルムカメラも、車も、テレビも
技術革新が進む中で、会話がなくなってしまいましたねー。


というコメントを下さった。
このさぶさんのコメントを拝読して、「この視点って、今とても重要なコトだな~」と思った次第。

最近「リビングを中心とした間取り」という、一般住宅向け間取りがある。
子ども部屋などもあるのだが、基本的には家族が揃う場所「リビング」を中心として考え、子どもたちも1日の大半をリビングで過ごすような間取りになっているモノだ。
その理由は、「子ども部屋で勉強をする子どもより、家族が集まるリビングで勉強する子どものほうが、偏差値の高い学校へ進学している傾向がある」というコトらしい。
親向けの教育雑誌、特に父親視点で作られている雑誌などには、このような特集が組まれていることが多いようだ。
とすれば・・・さぶさんが指摘したような「会話がある」というコトは、子どもの知的発達面で、プラスとなる要素が高いのでは?と思ったのだ。

と同時に、「会話がある」というコトは様々な能力を引き出す面もあるように思ったのだ。
例えば「プレゼンテーション力」。
「プレゼンテーション力」と書くと、何か大げさな気がするが実は家族の中で話しをするときも「自分の考えを家族みんなに理解してもらうために話す」というコトを自然にしているはずだ。
言い換えれば、家族で話すことそのものが、ある種の「プレゼンテーションの場」なのかも知れない。
と同時に、自分の意見だけではなく家族の意見も、一生懸命聴く必要がある。
その意見に対して、自分の考えを述べるということもあるはずだ。

何も会社のプレゼンテーションや大学の授業にディベートが、トレーニングの場ではないと思うのだ。
というよりも、家庭の中で日ごろから家族の会話が出来ていれば、ある程度のプレゼンテーション力やディベート力が、身についているのではないだろうか?

そのように考えると、「食卓で話す」というコトはとても大切な時間のような気がする。
10年以上前から問題になっている「個食化」は、決してひとりで食べる食事という意味ではなく、家族揃っていながら会話も無く、自分の食べたいものだけを食べて自分の部屋に引きこもってしまう、というコトなのでは?
社会がグローバル化していく中での「個食化」は、日本の潜在能力を発揮できなくしてしまっている要因かもしれない。

もし、そのような視点で住宅メーカーだけではなく様々な企業が注目すれば、新たな市場が生まれる可能性もあるはずだ。
「食卓で話そう」とてもシンプルだが、今の日本にとても大切なキーワードなのかも知れない。