日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

成功体験から抜け出ることの難しさ

2013-08-05 11:03:26 | ビジネス

「docomo一人負け」と言われて久しい。
そのきっかけとなったのは、iPhone(=スマートフォン)の登場だったと思う。
それだけ、iPhone登場というのは衝撃的だった、と言うことなのだが、それだけの理由でこれほど「一人負け状態」が続くだろうか?
 
そんなコトを考えていて、思い当たることがあった。
それがdocomoが経験した、「IモードやFOMA」という成功体験で、それを後押しするコトになった、10年あまり前当時の経産省の肝いりで始まった「ユビキタス研究会」のような研究会だ。

「ユビキタス」と言っても、今のお若い方は知らないと思う。
「ユビキタス=いつでも・どこでも・自由に・誰もが情報にアクセスできる」と言う、新しい社会基盤と言う考えで、経産省が中心になり民間企業ではNTTや携帯電話メーカーなどを巻き込んだ「研究会」がだったと記憶している。

スマホを利用しているお若い方にとって、「それなら、スマホ1台あれば実現できる」と思われるだろう。
そうなのだ、当時考えられていた「ユビキタス社会」の多くは、スマホの登場で一気に解決できるようになってしまったのだ。
昨日、「スマホでプリウスを誤作動させることができる」というニュースがあったが、悪用すれば故意的誤作動による事故を遠隔操作でできる様になってしまう。
このとことは、スマホが「様々な遠隔リモコン」になる、と言うことも証明している、と思う。
スマホが登場した頃は、この様な「遠隔操作リモコン」ということは、考えられていなかったと思う。
訂正:上述の「スマホで自動車の誤作動」ではなく、「ハッキングによる誤作動」でした。ただ、「無線でもハッキングは可能」という内容でした。
    訂正をさせて頂きます。

ただ、この様なことが自在にできる未来=ユビキタス社会を真剣に考えていたのは、10年あまり前の話なのだ。
それに先駆け登場したのが、NTTdocomoの「iモード」であり「FOMA」だった。
もちろん、auやSoftBank(おそらく当時は、J-フォン→ボーダフォン)も指をくわえて見ていた訳では無いが、docomoの「FOMA」は圧倒的に強く、auやSoftBankは全く太刀打ちができなかった。

その後、Appleの「iPhone」が登場したコトで、一気に「FOMA」が時代遅れになってしまう。
それにいち早く対応したのがSoftBankで、追従するようにauやdocomoがサムソンの「Android」を投入することとなった。
その中でも一番対応に後れた感があるのが、大ヒット商品「FOMA」を持っていたdocomoだったような気がする。

docomoだけでは無く、日本のメーカーも「FOMA基準」という感覚から抜けきれない出いる、と言うこともあるのではないだろうか?
もっともこの春のdocomoの「ツートップ戦略」が残念な結果になったコトで、メーカー側も最終的な判断をせざる得ない状況になってきているようだが。

iPhoneの登場から約5年。
5年という歳月が短いか長いかはわからないが、docomoは未だに「FOMA」の成功体験から抜け出ていないような気がするのだ。