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「インスタントコーヒー」が、インスタントでなくなる?

2013-08-29 19:43:22 | ビジネス

今日、経済紙だけではなく一般紙なども、ネスレが「インスタントコーヒー」の名称を止める、と言う記事を掲載している。
ネスレ公式サイト:新ネスカフェ
この記事の前にネスレは、主要な新聞などに「コーヒーが変わる」という趣旨の広告を掲載していた。
「何がどう変わるのか?」と言う点については、伏せた状態で「一体何が変わるのか?」という、期待を持たせた上での今回の発表となった。

ご存じの方も多いと思うのだが、ネスレは「インスタントコーヒー」と言う製品を、初めて市場に出した企業だ。
その後、「手軽に飲める飲み物」として人気となり、日本では急須で入れたお茶よりも一般的な飲み物になったかも知れない。
「インスタント」という言葉が意味する様に、「手軽で便利」というコトが受けたのだ。

その後コーヒーだけではなく、様々な製品に「インスタント」という言葉が使われる様になった。
代表的なところでは、「インスタントラーメン」や「インスタントカメラ」だろうか?
粉末タイプのお味噌汁が登場した時には、「これでインスタント?」というキャッチフレーズが使われた。

それから50年余り、今やブルックスに代表されるような安価でありながら、簡単にドリップコーヒーが楽しめるようになり、街を歩けばスターバックスをはじめとする「カフェ」がある。
今やインスタントコーヒーでは、満足できない生活者が増えてきているのだ。
もちろん、そんな社会変化にネスレが対応していなかったわけではない。
本格的なエスプレッソが楽しめるマシーンとコーヒーをセットにした商品や、インスタントコーヒーを使ったカフェマシーンなどの販売をしている。

おそらく、インスタントコーヒーそのものの売り上げが、以前程の売り上げではないにしても、大きく減っている訳では無いと思う。
ただ、生活者の志向が多様化し上述したような商品を販売するには「インスタント」という言葉が似合わないと判断したのではないだろうか。
何より「インスタントコーヒー」という言葉そのものを、生活者が使わなくなってきている様に感じるのだ。

ただ気になるのは、いくら生活者が使わなくなってきたにしても、既に定着してしまった「インスタントコーヒー」という言葉から、新しい「レギュラーソリュブルコーヒー」と言う言葉が定着するのだろうか?と言う点だ。
長すぎるのと、日本人には発音し難そうな音が並んだ言葉は、なかなか使い難いのではないだろうか?

名前が変わっただけではないので、商品そのものは売れるとは思いますけどね。