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ガソリンの「高値安定」がもたらす社会的変化とは

2014-10-04 19:37:28 | ビジネス

今年に入ってから、原油が値下がっているにも関わらず、ガソリンの「高値安定」が続いている。
以前なら「原油が値上がったのだから、ガソリンの値上がりも仕方無い」と言う気がしていたのだが、原油が値下がり傾向にあるのにガソリンの値段が値下がらないなんて?と、思われている方は多いのでは?
ただ、ガソリンの「高値安定」がもたらす社会的変化と言う視点で考えると、「日本のモータリゼーション」だけではなく、「日本のエネルギー政策」や「高齢者政策」にも大きく影響する様な気がする。

例えば「ハイブリッド車」の普及。
街中を歩いていると、「ハイブリッド車が、増えた」と実感している。
「ハイブリッド車=トヨタプリウス」というイメージが強かったが、今ではトヨタ車だけではなくホンダなどでも「ハイブリッド車」が目に付く様になった。
しかも「ハイブリッド車」の代名詞とも言える「プリウス」だけではなく、様々な車種のハイブリッド車が増えている。
今年の夏には、三菱のEV車を個人で乗っている方を何度か見かけた。
ご存じの通り、三菱のEV車というのは電力会社の営業(兼PR車)として使われているのがほとんどで、一般での普及はなかなか進んでいないのが現状だ。
先日は、ハイブリッドワゴン車のタクシーを見かけた。
その様な傾向が強いのは、いわゆるタクシー会社。特に「個人タクシー」が多くなっている様な気がする。
理由は「個人タクシー」の場合、ガソリンなどの「燃料費の値上がり」は日々の収益に直結する問題だからだ。

ハイブリッド車の普及は、単にメーカー側の宣伝などの努力だけではなく、「ガソリンの高値安定」というコトも大きく影響しているのだと、実感できる。
その様な「ガソリン事情」を踏まえ、自動車メーカー各社は「脱ガソリン」への動きを加速させている様な気がする。
ホンダは「水素自動車」普及のために、「水素ステーション」の設置に積極的に動き始めているようだし、日産は「EV車の充電放題」を始める、と言うニュースが先日あった。

ホンダ:スマート水素ステーションを、さいたま市東部環境センター内に設置 ~高圧水電解システムを採用した「パッケージ型」水素ステーション~

東洋経済:日産リーフ、急速充電器使い放題の新プラン

このほかにも自動車メーカー4社が集まりEV車両普及のための「新会社」も設立している。
そう考えると、「ガソリンの高値安定」は、ハイブリッド車の普及を進めるだけではなく、社会のインフラも変えていく可能性があると思う。
例えば、先日エントリさせて頂いた電力会社の「再生エネルギー買い取り中止」に対して、自治体などは電力会社ではなく、自動車メーカーが設立した新会社に「売電する」というコトもできるからだ。
そうなれば、「再生エネルギー」の設備が造りやすいトコロから、EV車の普及がはじまるかも知れない。
社会実験的に行われている「ひとり用EVビーグル」などは、高齢者の移動ツールとして使われる様になる可能性もある。

「ガソリンの高値安定」は、もしかしたら社会のインフラを変える始まりかも知れない・・・と思うのだ。